悲観主義者は成功しない。最後に勝つのはオプティミスト? [【再掲載】]

なぜか?日本人はペシミスト(悲観主義者)が多い。ものごとを悪い方にばかり考える。例えば「俺は会社を作り世界と商売をするぞ!」といったする。まわりは必ずこういうだろう。「甘いなあ〜」「身の程知らず」「そんなの無理に決まっている」多くの人は夢や目標を批判、否定しようとする。
その背景には日本人の考え方があるだろう。「世の中に期待しない」「夢は所詮、夢」と厳しくものごとを考えることが大人の発想であり、世間を知っていることだという意識があるからだ。だから夢を語ると、だいたい先のような批判をされる。
僕自身も経験がある。高校時代に「映画監督になりたい!」といったら、友達や先生、親、大人からもの厳しく批判、否定された。「世の中、そんな簡単にいかない!」「もっと現実を見つめろ!」「小学生みたいなことをいうな!」「お前、才能あるのか?」ともう総攻撃。その後は夢を語らないようにした。
それがアメリカ留学し、大学の先生やクラスメートに「夢」を訊かれて答えたときは全然、違う反応だった。「映画監督か!グレート。がんばれよ」「グッド!いいね」「絶対になれるよ。応援する」ほとんどが好意的な意見で、背中を押すものばかり。日本は止めようとする人ばかりだったのに、何が違うのか?

僕が留学したのは23歳。日本なら大学卒業、就職の歳。後ろめたいものがあった。大学でそんな話をしたことがある。「僕はもう23歳だから…」というと「何いってんだ。まだ、23歳じゃないか!」「まだまだ、これから、何だってできるさ!」と、これまた何人もから言われた。アメリカは楽天家ばかり? でも、とても励まされた。
確か、ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースも60歳を超えてから成功したと聞く。さすが、アメリカン・ドリームの国。大学で出会った人たちも、皆前向きだった。で、気づいたのは日本は何で夢を語ると否定したがるのか? なぜ、夢を否定する? 厳しい現実を受け入れることを大人の考え方だと思い、何かにがんばろうとすると「子供じゃないんだから」などというのか?
日本に帰ってからも、僕は「映画監督になること」を目標にして、アルバイトをしながら、シナリオを書き続けた。相変わらず、友達も、親も、知人も、声を揃えてこういった。「いい加減。現実を見ろ。いい歳なんだから、早く会社に就職しろ」そして相も変わらず「世の中、甘くない」と言われた。
身のまわりでも、ミュージシャンになりたい! 俳優になりたい! 小説家になりたい!という友人がいたが、1年、2年と経つと、次第に脱落。ふるさとに帰る者。会社に就職する者が出てきて、5年も経つと皆、いなくなった。「やっぱ、食って行けないから」「しょせん夢は夢なんだよな」そんな言葉を残して消えて行く。大人たちは、そんな彼らを見てこう言う。

「世の中、甘くない。諦めが肝心だよ」
しかし、それは違う。彼らは全力で努力して諦めたのではなく、ほとんどが努力不足。見ていると、少しばかり足掻いてみて駄目だと、落ち込んで悩む。その期間の方が努力する日数より長い。そして、彼らはもともと「日本でもアメリカン・ドリームを実現するぜぇ!」という楽天家タイプではない。彼らを批判する大人たちと同じように、何かにつけ「どーせ無理だ」「世の中、甘くない」などと言っていた。
「俳優になりたい!」といいながらも、現実の厳しさを知っているペシミストだったのだと思える。だからこそ、2年3年で諦めてしまったのだ。そもそも、数年で俳優や小説家になれる訳がない。でも、彼らは自分の努力が足りないのではなく、「世の中が厳しい。だから無理なんだ」という解釈をしていた。
気持ちは分かる。僕も何度か挫折しそうになった。いろんな努力をしても、なかなか映画監督へのチケットは手に入らない。近づくことさえできない。でも、人が机の上で考える方法論なんて、ものすごく限られたもの。本当は別のところに、違った方法論があるものだ。なのに、ペシミストはそうは考えず。「世の中は甘くない。厳しいんだ」と解釈して諦めてしまう。
一方、オプティミィスト(楽天家)はもう少し、がんばれば、別の出会いがあるかもしれない。別の方法論が見つかるかもしれないと考えて、諦めない。そう、この「諦めない」ということが大切なのだ。ペシミストは努力しないのに、「世の中甘くない」と決めて、諦める。だから、それで終わったしまうのだ。

実際、僕は5年目で脚本家になるチャンスを掴み、2年後に監督になる。そして、さらに8年後に映画監督デビューする。それから4本の映画を撮り。最新作は日本全国50カ所の映画館、シネコンで公開される。もし、途中で諦めていたら今の自分はない。
振り返ると、アメリカ時代にもらった言葉に支えられたと思う。「まだ、23歳じゃないか」「今からだってできる」「映画監督。グレート。がんばれ」「絶対になれるよ。応援する」特別の人ではない、普通のアメリカ人から何度もそう言われた。だが、僕がアメリカには行かず、ずっと日本で生活していたらどうだったか?
バイトを続けながら、映画監督を目指していたら? ほとんどの大人、そして友人たちがこう言い続けただろう。「世の中、甘くない」「夢は所詮、夢だ」「どーせ、無理だ」「可能性は低い」そんな言葉を何年も何年も聞いていると、「そうだよな。やっぱ無理だよな」と思えたはずだ。そして、夢を諦めることこそ、大人だと思い、就職。そして、がんばる若い人を見れば「甘いんだよなー」といいたくなったろう。
でも、それは違う。こんな言葉を聞いたことがある。「最後に勝つのはオプティミスト」そして「世の中には失敗した人と成功した人がいるのではなく、諦めた人と成功した人がいる」アメリカン・ドリームというのは決してアメリカ固有のものではない。ただ、日本人の多くはペシミストであり、何かがんばる人がいると、頼みもしないのに「世の中甘くない」「現実は厳しい」と言いに来る人たちが多い。
それで若者は結局、諦めてしまう。けど、夢でも、目標でも、テーマでも、自分が掲げるもの、目指すものを掴むことはできるんだ。それには努力や洞察力も必要だが、一番大切なのはペシミストにならないこと。オプティミストでいること。そして「諦めない」ことなのだ。何事も諦めてはいけない!
