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映画「向日葵の丘 1983年・夏」感想 Mさん(沖縄在住) [観客の感想]

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沖縄在住の女性Mさんの感想文。本人の許可を得て紹介させてもらいます。


「向日葵の丘」、前半はコミカルで「あまり泣かずに済みそう♪」と安心していたら、対比で後半余計悲しくなり「やられた!」と思いました。

太田監督の映画を観るといつも、「自分の高校生の頃はどうだったかな~」って思い出してしまいます。高校生の多香子(芳根京子)が父親とけんかするシーン、自分だったらきっと「そんなガチガチに生きてきたくせに、ビデオデッキも買えないような生活しかできないじゃん!意味あんのかよ!」などと言い放って大喧嘩になりそうと思ったり

学校帰りにお笑いのライブをよく見に行っていたこと、軽音楽部でバンドをやっていて先生たちから「うるさい」と言われたけど、音量だけで言えば野球部の掛け声や、ブラスバンドの練習の音の方がよっぽど大きいのに、大人は自分たちの気に食わないことはそうやっていちゃもんつけるんだよなと、イラっとしたことも思い出しました

「大人ってムカつくよね」彼女たちに同情。そしてとっても彼女たちが愛おしくなって、色んなこと話して伝えてあげたくなったりして。監督の映画に出て来る女の子たちは、本当は居ない子たちなのに、必死になって手を差し伸べたくなるステキな女の子たちですね。

ネタバレになってしまいそうでと思ったのですが、大人になった多香子(常盤貴子)がシナリオライターとしてひどい扱いを受けるシーンは、よく太田監督がYoutubeでお話になっているご自身の体験を生かされたのかなと勝手に想像。

後半はひたすら切なく、親(並木史朗)に腹を立てながらも肉親だから無視しきれないところ、けんか別れした友だち(田中美里)だけど、もう先が長くないと聞いて会いに行くところなどは、一筋縄ではいかない人の感情や人生が伝わって来て切なく。

今は昔の面影を残すだけで懐かしい人たちは居なくなった町を巡り、一番好きだったひまわり畑が民家になっていることにがっかりし、憧れていたお兄さん(別所哲也)は喧嘩した友だちと結婚してるし、その2人の子供が楽しそうにしてるところを目の当たりにしたり、「切なすぎる」展開の連続に、しんみり観ていました。

でも最後に、冷たそうに見えていたエリカ(藤田朋子)が来てくれて、客席が満席になって、ホッとして涙が流れ、映画館の支配人(津川雅彦)や、高校生の頃の3人が映画館に姿を現し、監督の粋な計らいに、ドッと涙があふれました。

これは私の勝手な想像ですが、作品ではいつもかわいい高校生の女の子が主人公ですが、幸せとは何なのか?と言う困難で答えがなかなか見つからない問い、思いを伝えられなかった後悔や伝えることの大切さ、時代や制度に翻弄される人々、その中で本当に大切なことを見つける苦悩などを、その重さをやわらげ、希望が持てるように女子高校生の姿を借りて描いていらっしゃるのではないかと思いました。

映画はハッピーエンドですが、これから彼女たちが向かって行く今の日本の社会は、女性たちにとって決して理想的な環境ではありません。

でも、10代にして本当に大切なことに気づき、素晴らしい仲間に出会った彼女たちなら、きっと彼女たちが出会った数少ない理解ある大人のように、周りの人たちに大切なことを気づかせ、世界を変えて行けるのではないかと、期待しています。2022年2月


「向日葵の丘」監督ブログ=> https://aozoraeiga.blog.ss-blog.jp




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