楳図かずお「14歳」全巻を読み終えて。 [漫画の話]
楳図かずお「14歳」全13巻を読み終えて。
テーマ的には「漂流教室」にも近いところがあるが、より神がかったところがあり。ホラーというよりSFドラマであり、スタンリーキューブリックの世界に近いのかもしれない。
今回は先の「漂流教室」や「わたしは真悟」のように、漫画喫茶のオープンカフェであたり気にせず、涙が止まらないということはなかったが、あのシーンはやはり驚愕した。
「わたしは真悟」で訳も分からず涙がこみ上げるハエのシーン。同じく、ゴキブリのシーンには唖然。なんで? ここでゴキブリの話になるんだ〜??と驚愕してしまった。
連載中に読んでいたら「シートン・動物記」か?と思うかもしれない。或は「カムイ伝」? あれも人間が延々と出て来ず、猿や犬の物語が続いたが、こちらはゴキブリ。しかし、そこに希望が託されているとは......
楳図かずおという人はどんな脳をしているのだろう? 頭の中はどうなっているのか? 狂っているか? 病気か? 天才か? 奇才か? とにかく、常識を超え、想像を超える物語だ。
1日4時間。2日がかりで全巻を読破。先の2作と並んで、これを読まずに死んだら後悔していたと思える。
漫画「わたしは真悟」を読んだ。 [漫画の話]
先日の「漂流教室」に続いて梅図かずおさんの「わたしは真吾」を読んだ。
またまた、凄かった。
50代にまでなって、今更、感銘を受ける漫画に出会うとは思わなかった。
下手なハリウッド映画を遥かに超えたクオリティ。
もはや漫画ではない。文学ともいえる神がかった物語。
楳図かずおさん、天才。
何度か、意味もなく涙が溢れた。
まさか、犬と、蛇と、ハエで感動するとは思わなかった。何なんだこの物語は?
タイトルの意味が分かるのも全6巻中の3巻の途中。
そこからが本当のスタート、何と長いプロローグか?
そのあと、主人公が出て来なくなる。何だこの展開。
そして、舞台はイギリスへ。そのあとはもう....
本当に凄い。生きている間に読めてよかった。残るは「14歳」だ。
漫画「わたしは真悟」を読んだ。 [漫画の話]
先日の「漂流教室」に続いて梅図かずおさんの「わたしは真吾」を読んだ。またまた、凄かった。50代にまでなって、今更、感銘を受ける漫画に出会うとは思わなかった。下手なハリウッド映画を遥かに超えたクオリティ。
もはや漫画ではない。文学ともいえる神がかった物語。楳図かずおさん、天才。何度か、意味もなく涙が溢れた。まさか、犬と、蛇と、ハエで感動するとは思わなかった。何なんだこの物語は?
タイトルの意味が分かるのも全6巻中の3巻の途中。そこからが本当のスタート、何と長いプロローグか? そのあと、主人公が出て来なくなる。何だこの展開。そして、舞台はイギリスへ。そのあとはもう....
本当に凄い。生きている間に読めてよかった。残るは「14歳」だ。
漫画「漂流教室」を41年振りに読んで。 大人たちが時代を謳歌したツケを未来にまわしたことで、苦闘する子供たちの物語。 [漫画の話]
漂流教室を41年振りに読んで。
大人たちが時代を謳歌したツケを未来にまわしたことで、苦闘する子供たちの物語。
物語は都内の小学校が地震により、タイムスリップ。人類が絶滅、東京が砂漠となった未来に飛ばされる。教師たちはその事態を理解できず、取り乱し、様々な形で死んで行き、子供たちだけが残り。戦いながら生きて行く物語。
そんな子供たちを襲うあまりにも過酷な試練。「バトルロワイヤル」でも中学生同士が殺し合うが、こちらは小学生同士が殺し合い。大人が子供の食料を取り上げ、生き残ろうとする。
あまりの凄惨さに、何度も本を閉じて考えてしまう。空気は汚れ、海は枯れて、町は砂漠になり、草木はなく、雨は降らない。それは大人たちが自分たちの時代を謳歌するために、地球を汚し、資源を取り付くし、ぼろぼろにしてしまった結果なのだ。次の世代の子供たちに残すべき地球を破壊しつくした姿なのだ。
その中で生きて行かねばならない子供たち。教師たちは何の役にも経たず。ただ絶望して死んで行くのみ。そして自然を破壊しつくした前世代の大人たちの贖罪を子供たちが償うのが「漂流教師」という物語なのだ。
これはまさに今の物語ではないか? 30年経っても半減しないセシウム。2万4000年しないと半減しないプルトニュウム。そんなものを日本中にバラ撒いた大人たち。
そもそもは電力不足ではなく、一部の大人が儲けるために原子力は利用。使用済み燃料の処理もできず。10万年保管するというのも、未来の子供たちにそのリスクを委ね。自分たちは電気の恩恵を受けたい。そのツケは子供たちに!というのが現代の日本だ。
「漂流教室」では原子力ではないが、まさに大人たちが空や海を汚し、大地を傷付け、自然を破壊したことで、恵まれた生活を送ったために、子供たちが未来でツケを払わされ、苦しみ、怯え、悲しみ、傷つき、命を落として行く物語なのだ。なぜ、この子たちがこんな思いをしなければならないのか? 何度も涙が零れた。
そして、あたり前のことが、どれほどありがたく、かけがえのないものか?を感じさせる。僕が監督した「朝日のあたる家」でも描いたテーマだが、失って初めて幸せとは何かを実感する。
同時に、自分たち大人がいかに愚鈍で、子供たちの未来を壊しているか?も痛感せずにいられない。それが「漂流教室」という物語。41年前。中学1年生のときには気づかなかったテーマを感じた。
41年振りに読んだ「漂流教室」衝撃だった。これは今の日本か? [漫画の話]
ふと休憩で入った漫画喫茶で、梅図かずおの「漂流教室」の愛蔵版セットを見つけた。実はここ数ヶ月、読まねば!と思えていた漫画だ。が、すでに本屋にはなく古本屋を覗いても、なかなか見つからずにいた。
が、心に引っかかるときに、見つめなすと大抵、大当たりで、いろんなことが解明されたり、答えが見つかったりする。少し前なら「ワイルド7」がそれ。そして今回は、昨年、「向日葵の丘」を撮影する前から引っかかっていたことなのだ。
主演の常盤貴子さんが「漂流教室」のテレビ版に出演していたこと。僕の師匠である大林宣彦監督が原作を映画化していること。そして、その大林監督の作品に常盤さんが出演したこと(野のなななのか)さらに、原発事故以降の状況が何か漫画「漂流教室」にダブったこと等があり。もしかしたら、そこに答えが?と思えたのだ。
漫画は1974年。僕が中学1年生のときに、全巻を本屋で立ち読みしている。数時間かかって、最後まで読んだ。もの凄い衝撃で、自分がどこにいるのか?も忘れて、本屋の迷惑顧みず、立ち読みをした。が、あまりに凄惨な物語なので、買って帰って部屋に置いておきたくなかったという思いもある。本が部屋にあるだけで、毎日悪夢を見そうな内容なのだ。
当時13歳の僕はそれほど強いショックを受け。50歳を過ぎた現代に至まで漫画史上のベスト3の1作である。が、あまりに凄惨な話なので、読み直そうという気が起こらず、41年の年月が過ぎた。それが昨年辺りから、気になり探していたのだが、なかなか見つからない。
Amazonなら2000円ほどで文庫版が帰るのだが、なるべく大きめの版で読みたくて、調べると「愛蔵版」というのが存在した。でも、Amazonにはない。それからしばらくして、今日、近所の漫画喫茶でふと訊いてみると、「ありますよ!」と奥から出して来てくれた。おおーーーーーーーーーーー!という訳で、全5巻を三時間ほどかけて一気に読んだのだ。
41年前。中学1年生、13歳のとき以来の漫画。あのときは小学6年生の主人公に近い年齢だったが、今は物語初期に死んで行く大人たちと同じ世代になっている。が、40年の月日が経っても物語の凄さは変わらず、凄惨な物語に打ちのめされる。いや、あのとき以上の衝撃を感じ、途中で何度も涙が溢れた。漫画で泣けるのは本当に少ないのに、涙なしでは読めない。「ウォーキング・デッド」であり、「ワースト」であり、「カムイ伝」かもしれない。
13歳のときと同じく、読み終わったときに、自分がいる場所を思い出した。そうだ、漫画喫茶にいたんだ。そして家路を歩く自分が、久々にこの町に帰って来たかのように思えた。砂漠となった東京で、小学生の主人公たちと共に、あの凄惨な経験をして、戻って来たかのような気持ち。でも、まだ、打ちのめされて、心ここにあらずという感じで、商店街を歩いた。
詳しい感想はまたいずれ....