太田映画の俳優はなぜ、輝くのか？ 僕も気づかなかった理由？

今、映画評論家の友人が「太田監督の映画はなぜ面白いか？」というテーマで評論を書いてくれている。これは興味津々。で、訊かれたのが「他の監督と違う何かをしてるでしょう？」ということ。だが、僕は助監督経験がほとんどなく、他の監督の現場をあまり知らない。だから違いをいえない。

すると彼は「太田監督の映画は、俳優がもの凄く輝いている。他の作品とは全然違う。そこに映画が面白くなる理由があるはず！」と指摘、次第に事件を探る刑事のような姿勢になってきた。確かに、僕の映画は「若い子たちがキラキラしていて、印象的」とよく言われる。

だが、彼がいうには「若い子だけでなく、今回の『向日葵の丘』はベテラン俳優たちも、凄くよかった。あんな演技。他のドラマで見たことない。何が理由なんだろう？」という。そこで本人たちに訊いたそうだ。「撮影前に監督とどんな打ち合わせをしたんですか？」と、

ところが全員が口をそろえて言う。「別に何も...」それは俳優さんに訊かなくても僕が答えられることだが、撮影前に演技プランとか俳優とは話合わない。撮影現場でも演技指導という奴をしない。そもそも、監督という人種は芝居ができない。それがなんで偉そうに芝居を指導するのか？　相手はプロだ。自由にやってもらう。というのが僕のやり方。

太田組は自由行動とよく言われる。なのに、評論家さんに言わせると「どーして、何も言わないのに俳優があんな素敵な芝居をするのだ！？」となる。実は、僕もそれは前々から感じていた。僕が何も言わなくても、出演者は本当に素晴らしい芝居をしてくれる。今回も何度も、泣かされた。

でも、僕が厳しい演出をしたとか、演技プランを徹底して打ち合わせしたとかいうことではない。本当に何もしていない。そこで刑事さん。いや、評論家さんは大きな壁にぶつかった。「太田映画でなぜ、俳優が輝くのか？」

僕も前々から不思議だったので、一緒に考えた。ら、僕自身もあまり意識していなかった事実がいろいろと見えて来たのである。また、その話は詳しく書く。