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【今回は倒れない?! いや、倒れるかも?】 [映画業界物語]

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【今回は倒れない?! いや、倒れるかも?】

ここしらばくのFacebook記事を読み、「大丈夫ですか?」と連絡をくれた友人がいる。鋭い! というか、毎度のことなので、皆、心配してくれているようだ。毎回、映画が完成すると、或いは公開が始まると、倒れて何ヶ月も寝込む。ある作品のあとは半年も自宅入院生活。医者に行くと「重度の過労!」と診断された。そして「過労をなめちゃいけないよ。ある日、バタッと倒れて本当に死ぬんだからね!」といわれた。

実は、倒れる以前にも体調が最悪で医者に行っており、そのときも「過労」と診断された。過労はビタミン剤をもらうとか、点滴を打つということで良くならない。充分な休養を取るしかない症状。医者からは厳しく言われた。

「仕事をしばらく休みなさい。無理を続けると本当に死ぬからね!」

働き過ぎくらいで死ぬかあ? と思う人もいるだろう。僕も最初はそう思っていた。が、たまに新聞記事で見かける「過労死」朝、元気に家を出たサラリーマンが会社で倒れて、そのまま死んでしまうという事件。あれが過労死である。本当に限界まで働いても精神力でもってしまうところがあり、体が限界を超えて、どこかしらが破綻。死に至るのだ。

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だが、映画の仕事というのは、土日、祝日もなし。盆暮れ正月もない。おまけに僕の場合は7人分の仕事をする。いつも、クランクイン前にはすでに、ヘロヘロ。監督業以前の仕事も全て僕自身がやるからだ。倒れそうな状態であることが多い。でも、それをスタッフ&キャストにバレないように元気に振る舞う。撮影が終われば、スタッフ&キャストの仕事は終了。だが、監督である僕は、そこから2−3ヶ月に渡る編集作業が始まる。完成後は宣伝活動。そんなことで1年くらいすぐに過ぎてしまう。

以前、監督したある映画のときは製作費集めから、スタート。完成まで4年かかった。その間、休みなし。ようやく東京公開されて、ほっとしたとたんにバタ!何ヶ月も起きられなかった。医者に怒られた。

「死んでいてもおかしくなかったんだぞ!」

だが、それは承知の上。映画を作るときは毎回、遺作だと思ってやる。だから、無事完成してから過労死するなら本望。でも、半年も寝込んだのは辛かった。50歳を超え、次同じことをしたら、本当に過労死だな?と痛感はした。

そして、50歳を超えてから監督した今回の「向日葵の丘」実は前作「朝日のあたる家」から繋がっている(?)というのも、「朝日」の企画をスタートさせたのが2012年7月。そこから製作費集めを開始。ロケハン、風景撮りもスタート。翌年の2013年3月に撮影。そこから編集。5月に完成。休む間もなくロサンゼルスの映画祭へ。帰国してからは日本公開。

各地の舞台挨拶ツアー。年が明けた2014年もツアーは続く。日本各地で宣伝活動。それと平行して、「向日葵の」のシナリオ書き。「朝日」映画館公開終了が3月。4月下旬から「向日葵」の撮影。5月終了。その直後から編集作業が3ヶ月。

そして12月に完成。今年、8月の東京公開までは宣伝活動。その後は舞台挨拶ツアーとさらなる宣伝。他の仕事はせず、それに専念した。1人でも多くの人に映画の存在を知らせるのは、監督自身がアピールすることが有効だからだ。それがようやく終焉時期になり、宣伝活動も間もなく終わる....。

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で、先日「映画館で映画を観よう!」と出かけようとして、途中でもの凄い疲労感に教われて断念。帰宅。でも、Facebookを更新しないと「あ、ついに監督は死んだな!」と思われるので、生きていることを伝える記事を上げておいたら、裏を察知した友人から連絡があったのだ。

でも、ご安心を。今回は以前ほど酷い状態でなく。テレビを観ることもできる。過労で倒れてみると分かるが、テレビさえ観れなくなる。集中力が減退し、本当に何もできず、1日ベットの上で寝たまま。まさに、自宅入院状態となる。だが、今回は起きてFacebookを書くことができるし、テレビ番組どころかDVDで映画を観ることもできる。これは過労度から行くとかなり回復に向かっている状態。

振り返ってみて「向日葵」の戦いも、かなり大変なものではあった。1人7役、8役をこなした。が、以前のような困った関係者は参加していないことで、ストレスが大きく軽減されたことが大きいかも。現在はPは僕1人。全て僕の責任で映画製作。何があっても全て僕の責任。だから、あれこれ口を出す人。間違った考えを押し付ける人。古い価値観を振り回す人はいない。本当に「いい映画を作ろう」という仲間とだけ、作品作りをしている。スポンサーもとても理解があり、いろんな形でサポートしてくれた。今回、前回ともに、評判がとてもいいのは、そんな素敵なスタッフ&キャストが参加してくれたことが凄く大きい。

映画製作というのは、どんな低予算作品でも、金目当てで、潜り込もうとする輩がいる。「監督の情熱に打たれました!応援したいです」とかいって近づいてくる。が、彼らは決して「素晴らしい作品」を作ろうとは思わず、製作費を抜いたり、ギャラをピンハネ、別の名目で自社に金を入れる。僕を飛び越えて、スポンサーに取り入ろうとする。応援してくれる著名人に顔を売り、こびることに必死。隙あらばプロジェクトを乗っ取り、自分の好きにしようとする連中までいる。

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そんなふうに映画製作を食い物にしている輩は、この世界に多い。一度、仲間に入れると、追放するのはなかなか大変。そいつの正体を見抜けず、庇う奴まで出て来て、更なるトラブルを生む。まるでがん細胞。増殖し、次第に映画製作そのものを蝕むので、素晴らしい作品を作るどころか、撮影を終わらせるだけで精一杯になる。映画作りより、がん細胞との戦いに多大なエネルギーを費やしたものだ。

そんな輩を閉め出したことで、より素晴らしい作品が出来るようになり、ストレスも減った。あと、食生活はかなり気をつけた。インスタント食品、コンビニ弁当、ファーストフードは出来る限り避ける。最近は毎晩、納豆と豆腐。子泣きじじいが3人ほど背中に背負っているような疲労はない。今回は過労死せずに済みそうだ。

とはいえ、まだ完全に「向日葵」プロジェクトが終了した訳ではない。ここでホッとすると、隠れていた疲労困憊が顔を出し、自宅入院生活!ということもありえる。毎回、精神力で体を支えているので、ほっとしたときが一番怖い。でも、ほっとせずにがんばっていると、強制的終了でダウンする。体はよく出来ている。そんなことを気にしつつ、もう少し、がんばる!

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