SSブログ

若い内に吸収したことが、大人になってから力になる? [My Opinion]

12079191_911709685570003_3364280728608629306_n.jpg


【若い内に吸収したことが、大人になってから力になる?】

中学、高校と日本映画が大嫌いだった。タイトルを見ただけで「あーダメ!」ポスターを見るだけで「一生見ない!!」そう感じていた。正確にいうと日本映画が嫌いなのではなく、その物語やセンスがあまりにも時代遅れで、嫌悪感を持つほど、許せない!というのが本当のところだ。

当時10代20代だった僕が...、いや、僕のまわりにいた同世代は同じように感じていて、日本映画より洋画。特にアメリカ映画に魅力を感じていた。当時は「タワーリングインフェルノ」「ジョーズ」「未知との遭遇」「スターウォーズ」と金のかかった物量作戦のエンタテイメントが多く、僕らはそれらハリウッド映画に酔いしれていた。

一方、日本映画は文芸小説の映画化。アイドル映画ーそれも過去の裕次郎が出た映画の焼き直しのような物語やお涙頂戴の難病もの。客をなめているとしか思えない、古臭いセンス。ビデオで見ていたら確実に早送りしてしまうスローなテンポ。金を払うのも躊躇われる、いや、金をもらっても見たくない映画が圧倒的多数だった。

それは僕らだけではなく、当時は「洋高邦低」といわれ、洋画がヒットして、邦画は当たらない時代だった。そんな頃に育ったので、憧れはスピルバーグであり、ルーカス。唯一の例外が大林宣彦監督であり、それから十数年後に出会い、作品に参加してもらうなんて夢のような出来事を想像さえしなかった。

話は戻り。ハリウッドに憧れた僕はロスアンゼルスにある名門映画科のある南カルフォルニア大学に留学する。そして何の間違いか? 映画に合格した。日本でいくら映画の勉強をしても、現役で活躍するあの巨匠たちのような映画しか作れないのであれば、憧れのハリウッドで勉強する方が意味あると思ったのだ。

11822846_872232826184356_884251133130768746_n.jpg

その後、波乱万丈な展開があるのだが、以前に何度も書いたので、先に進む。帰国後、10年以上かかり映画監督になった。日本を舞台にした物語を書き、日本人が出演する日本映画を作っているのだが、よく言われることがある。

「太田監督の映画って、何か日本映画ぽくない!」

外人俳優が出ているわけでもなく、海外ロケもしていない。CGを多用したアクションやスペクタクルがあるわけでもない。むしろ低予算。円盤も宇宙人も出て来ない。なのに日本映画ぽくないといわれることがある。

新作の「向日葵の丘」も日本映画は見ない!好きなのは「ターミネーター」や「スターウォーズ」という映画ファンの方に同じことを言われた。「日本映画なのに面白い。感動した」と。そんなとき、思うのは、やはり若い頃に見ていたアメリカ映画が自分の中で消化され、それがエッセンスとなって自分の映画に反映されているんだろうな?と。

そのせいか、僕の映画はアメリカ人にも評判がいい。先日、参加したロスアンゼルスの映画祭JFFLAでも、「向日葵の丘」は大評判。多くのアメリカ人が涙した。前作の「朝日のあたる家」も「青い青い空」もラストには拍手喝采。この反応もきっと、ハリウッド映画を見て育った僕が作ったので、アメリカ人も見やすいということがあるのだろう。

黒澤明監督はジョンフォードが好きで、時代劇を作ってもどこか西部劇。だから、アメリカでも理解され、高い評価を受けたのだと思える。やはり、若い頃に学んだこと。吸収したことは大人になってから、とっても生きるのだと痛感。だから、いう。若い人たちは自分が好きなものをたくさん見て、たくさん吸収してほしい。

それがあなたたちのエネルギーとなるのだから。そんなふうに思えている。


11754520_866001236807515_5910271295992972245_o.jpg
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。