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映画製作に寄生しようとする連中に気をつけろ! [映画業界物語]

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映画というのは、どんな低予算の映画でも関わる人にはいろんなメリットがある。それは以前に書いた。それを狙って寄生虫のような連中が寄ってくることがある。でも、彼らは笑顔で、親切心を掲げて近寄ってくる。

ある映画を準備していたとき、ロケ地の有力者の紹介でKさんという30代の男性に出会った。東京のテレビ局で映画部に勤め、キャスティングの仕事をしているという。「映画のお手伝いしたい。地元で撮影する映画だし、ギャラとか関係なしに協力したい」という。見るからに「出来る!」という風貌。何らかの形で参加してもらおうと考えた。

が、何度か会議に出てもらうと、疑問が出て来た。やたら自慢が多い。「俳優の***さんとは何度も仕事した」とか、「****監督とは長い付き合いだ。僕が声をかければ必ず出演してくれる」とか「僕が動けば、この町では大抵のことはできる」とか、いう発言が多い。どうも「俺は有名人との付き合いも多いし、仕事もできるし、凄いんだぞ!」ということをアピールしたいようだ。

僕は問題ある人を察知するのが得意。でも、それをスタッフに伝えても「そうですか〜? 悪い人じゃないと思うけど」と言われることが多い。けど、その人は最終的に事件を起こし、「監督は正解だったなあ」となる。でも、それでは遅いのだが、そのときも早い段階でピンと来た。

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有名人との付き合いを自慢する者は問題が多い。自分に力や知名度がない人ほど、そういうアピールをする。「寅の威を借る」というタイプ。「俳優の***さんをよく知っている」というが調べると、過去に1度あっただけということが多い。

また、「歌手の***さんは、歌がうまいんだよね〜」とか、いかにも親しげに語る人。聞いている方は「この人、***さんと親しいんだ」と思ってしまう。が、そう誤解させるように話しているのだ。多くの人は有名人と知り合いだと「凄い!」と思えて、その人を信頼してしまうことが多いからだ。

なので、有名人との交流を自慢する人は危ない。Kさんもヤバいと感じる。その後、彼は無償でキャスティングを担当すると言い出し、各事務所に声をかけてみるという。他のスタッフは「専門家がやってくれるならいいね!」と喜んだが、不安になった。自慢話に引っかかるだけではない。一番の不安は、彼が名刺を出さなかったこと。毎回「切らしてまして」という。***テレビ勤務のはずなのに?

その後、彼はキャスティングを手伝う上で「監督に一筆書いてほしい」と言い出した。紙に「キャスティング担当 ***」という書類がほしいという。かなり怪しい。キャスティングの仕事をしているなら、顔見知りの事務所に声をかけて「今度、太田監督の新作を手伝うんだけど」と言えば、候補者を上げてくれるはず。何で、そんな書類が必要なのか?「怪しい度」はイエローゾーンだ。

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彼の話を聞いていると、非常に論理的で、理路整然と話し、普通に聞いていると「なるほど、そうかも」と思える。が、細部を注意していると、微妙な矛盾がある。それを追求しても、見事に弁明するので、他のスタッフは誰も気付いていない。が、僕の中ではKさんは映画を個人のメリットのために利用していることを確信した。

でも、スタッフは皆、彼を信用している。どうやって彼の正体を暴き、追放するか? そうしないと必ず、大きな事件となるだろう。権限を与えてしまうと、もう止めることはできなくなり、映画プロジェクトが破綻することもあるだろう。しかし、他のスタッフは「いい奴ですよ。やり手だし」と疑ってもいない。

何か証拠を掴まないと、Kはこのままスタッフとして居座ってしまう。調べると、彼が勤務している局には映画部はないことが分かる。誰にも名刺を渡していないことも分かった。さらに調査すると、地元で問題を起こしていた。そして、ある地元劇団に「5万円払えば、2人の劇団員を映画に出して上げる。僕が言えば太田監督はOKするよ」と声をかけていたのだ。その証言を他のスタッフにも伝え、ようやく皆も問題があることに気づき、彼を出入り禁止にした。


その後、Kは所属していた地元の団体でも事件を起こし追放された。さらに、1年後。ある映画会社の友人から連絡がある。「今度、太田監督の映画のプロデューサーと仕事することになりました」ん? 誰だろう? 詳しく聞くとKだった。

彼は太田組のプロデュサーと名乗って、その映画会社に近づき、ある仕事をしようとしていたのだ。経緯を伝えると、友人はビックリ! 気付かれないように手を切ることにするとのこと。結局、彼はテレビ局勤務でもなく、キャスティング担当でもなく。何もバックはないのに、有能であるとアピール。映画製作に潜り込もうとしている。

僕のチームから追い出されると、「太田監督とは親しい。彼の映画をプロデュースしたのは僕だ」と嘘をいい、また別のプロジェクトに入り込もうとする。そんなことを繰り返しているのだ。この種の輩は多い。そして彼らはバカではなく、非常に狡猾であり、弁が立つ。気も効くし、礼儀正しい。しかし、映画作りに愛情はなく。映画を食い物にしようというのが本音。

そんな連中をいかに早く見抜き、追い出すか? これが結構、むずかしい。だから肩書きを誇示する奴とか、有名人と親しいという連中。特に太田組のプロデュサーと名乗る輩にはとりあえず注意してほしい。

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