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新人発掘をしない映画界? [映画業界物語]

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出版社は、頻繁に若い作家探しをする。

代表的なのは新人賞。それだけでなく、多くの出版社は持ち込み原稿も歓迎している。「少年ジャンプ」でも「賞」を儲けると共に、日頃でも現役の編集者が新人作家の原稿を見てくれる。そんな持ち込みをした1人に鳥山明がいて、のちに「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」というメガヒットを出す漫画家となる。そんなふうに多くの新人漫画家、小説家に門戸を開き、出版社は新しい力を求めている。

テレビ局はディレクターやプロデュサーが持ち込みのシナリオを読んでくれることはないが、やはり「新人賞」を設置。優秀な脚本家探しをしている。有名なのはフジテレビの「ヤングシナリオ大賞」。ここからも多くのヒットメーカーが育っている。

では、映画界はどうか?

実は僕がアメリカ留学から帰り、1年がかりで書いたシナリオを見てもらおうと各映画会社に電話したことがある。反応はこうだった。

T1社「当社では、そのようなことはしておりません」

T2社「そんな暇な奴はいないんだよ。皆、忙しいだ。下らない電話してくるな!」

M社というのもあったが、ここは非常に閉鎖的な社風なので、連絡していない。が、友人で電話した奴がいるが、やはり門前払いだった。


「ロッキー」で一躍スターとなったシルベスター・スタローン

あの脚本を自身で書き、ユナイテッド・アーティストに持ち込んだ。そして、脚本・主演を手にした。新しいところでは、クリストファーノーランがそうだ。「俺に本物のバットマンの映画を作らせてほしい」そういって持ち込んだのが「ダークナイト」シリーズ。

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新作「ゴジラ」の監督も同じような経緯で「ゴジラ」を撮ることになったはずだ。しかし、日本の映画会社はシナリオを読んではくれない。T1社では「そのようなことをしていない」という、「そのようなこと」とは何か? 社員がシナリオを読む作業を「そのようなこと」と形容するのは映画会社としてどうだろう?

T2社に至っては「そんな暇な奴はいない」と来た。では、「少年ジャンプ」の編集者は暇なのか? そんなことはない。たぶん、T2社の社員の数倍多忙だろう。漫画、小説、テレビドラマ。新人に門戸を開き、新しい力を探しているのに、映画界は扉を締めるだけでなく、社員は「そのようなことはしない」社員に「暇な奴はいない」というが映画会社なのだ。一応、新人脚本家の賞はあるが、受賞しても映画化はされないことが多い。そこから大型新人がでてくることもほとんどないのが現状。

つまり力ある新人が出て来ない。

いつまでもベテランががんばっている。その背景がよく分かる話だ。これは先に書いた「ベストセラー原作」の話にも繋がる。要はシナリオを読む力のある社員がいない。何が面白くて、何が面白くないか? そのシナリオのどこが面白くて、どこが駄目か? それを見抜く力がないので、新人の脚本を持ち込まれても、売れる作品を見いだすことができない。

同時に、そうやって日頃からシナリオを読もうとしないので、読む力が着かないともいえる。結果、「読む力」の必要のない「ベストセラー原作」という、誰もがケチを着けられないものを企画会議に出すしかないのだ。それは言い換えると、自分たちで力ある作家を見つける必要はなく、多くの新人作家に門戸を開き、ヒット作の書ける作家が大成。ベストセラーを出したとき、それの映画権をもらいに行けばいい。というのが映画界の発想なのだろう。


けど、ベストセラーを映画化しても、ヒットするとは限らないこと。最近は明確になっており。彼らはどうやって会社を存続して行くのか? それはまた別の機会に書きたい。

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