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「ウォーキングデッド」シーズン5後半戦② 絶望的な時代に僕らは何を信じ、何を求めるべきか? [映画の話]

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【「ウォーキングデッド」シーズン5後半戦② 絶望的な時代に僕らは何を信じ、何を求めるべきか?】

感じたのは、やはり今の時代が描かれていることだ。ドラマ内ではゾンビが世界中に広がり、人間が食い殺されて行く。どこに行ってもゾンビだらけ。やっと安全な町にたどり着いたと思ったら、権力欲に囚われた人たち、人を犠牲にして生きる人々の町であったという展開。全てを解決するチャンスを掴みながら、それがウソだったり、直前で機会を失う。見ていて本当にイライラする。

何も悪いことをしていない人たちが悩み、傷つき、虐げられて死んでいく。まさに、今の日本。今の世界なのだ。今回登場する「壁の町」以前登場した「ガバナーの町」もそうだが、どちらも昔のドラマによく出て来た「悪の帝国」的な描き方はしていない。むしろ、平和な町。安全な町としてアピールしている。なのに実は....という形。敵のボスも「悪の権化」というキャラではなく、平和主義者、市民を思いやる支配者という形で登場する。昔のドラマのような「世界を制服する!」という独裁者は出て来ない。

つまり、今の時代。「平和のための安全法案」といいながら実は「戦争法案」であったり、「大量破壊兵器を持っている」だから、止めなければと、戦争を仕掛けるとか、「テロリストがいる町だ」と空爆して罪のない市民をどんどん殺してしまうとか、「平和」や「安全」を前面に出しながら、実は一部の人たちの利益のため...ということが多々ある。そんな部分が「WD」の物語を見ていても感じられる。主人公リックたちが、「この町は本当に信じて、安住していいのかも?」と思いながら毎回裏切られて行く姿。今の世界情勢と同じなのだ。

そんな中、興味深いのは主人公リックのグループ。白人、黒人、東洋人。老人、子供、男性、女性と、ありとあらゆるタイプの人たちがいて、最初はいがみ合いながらも、悲しみに耐え、共に戦い、チームワークを作り上げ、助け合っていく。まさにアメリカの象徴。人種も、性別も超えて、一緒にやれるはず!という思いを描いているのだ。そんな意図で作られているので、いろんな人がいろんな見方をすることができる。

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例えば、映画監督業をやっている僕が見ていると、リックのチームは撮影クルーに思えてくる。映画スタッフはかなり個性的であり、それぞれの価値観を主張する。古い人。新しい人。杜撰な人。やる気のない人。ごまかしの多い人。いろんな人がいる。プロデュサーなど、おいしい話を持って来ておいて、裏切ることが多い。「WD」の世界も同じ。シーズン5も牧師や「壁の町」の若者。今回も登場する(?)ガバナーもそうだが、自分の古い価値観や権力欲を振り回す。

いろんな価値観があるのは当然だが、目的は「安全な町」を探すことや「事態を解決すること」である。その人の主義や欲得を満足させることではないのに、それを振りかざし、裏で工作したり、罠にはめたりして、自身の思いを遂げようとする。或いはことごとく反対意見を出し、足を救おうとする。映画の世界でもよくあることだ。僕のチームも今では信頼できる人たちばかり、太田組作品の方向性を理解、全力でがんばってくれるが、以前は古い価値観を振り回し、目先のことに囚われる人もいた。「WD」の世界と同じである。

リックが「この町の住人を信用していいのか?」と悩むところは、僕が「この製作会社を信用していいのか?」と悩んだことを思い出す。笑顔で、いい話ばかりするガバナーを信用して、酷い目にあう人々。同じように、僕も信じた相手に何度も裏切られた。また、今シーズンの牧師のように、危機から救ったにも関わらず、チームを危険に陥れる存在もいる。そんなタイプにも何度も出会い、煮え湯を飲まされた。バカな奴に扇動され、悪意はないのにトラブルをお越してしまう奴。期待していたのに自分のことで精一杯になり、仕事を投げ出した奴もいた。「何を信じればいいのか?」そんなことをドラマを見ながら考える。

この物語主人公リックも同じ。昔のアメリカンヒーローのように、迷いなく、正義を掲げて突進するようなことはしない。悩み、苦しみ、時には自分を見失う。彼はいつも正しい訳ではなく、間違ったこともする。ドラマとしてもどうか?と思うようなこともしている。ただ、品行方正で、いつも正しい主人公であったとしたら、この時代、共感し辛かったと思える。間違うからこそ、迷うからこそ。共感できるのだ。

そしてリックに一番共感できる部分は最後の最後は「家族のため」「息子のため」という部分だろう。彼は間違いを犯しても、それは「金のため」「権力のため」ではない。「子供たちのため」「仲間のため」なのだ。「WD」を見ていると、「金や権力が人を狂わせてしまう。でも、本当に大切なのは何だろう? 」ということを問いかけているような気がする。彼らの旅はその答えを探す旅であり、その行方を見守る僕らもまた、その旅で「本当に大切なもの」を一緒に探しているのだ。だから、見出すと止まらないのではないか?


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【「ウォーキング・デッド」シーズン5後半戦① 絶望的な現実を描き、見る者を放さない過酷なドラマだ】 [映画の話]

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【「ウォーキング・デッド」シーズン5後半戦① 絶望的な現実を描き、見る者を放さない過酷なドラマだ】

前半戦の舞台となると思われたターミナル駅。あっさりと第1話で結着が着いてしまい意外。でも、これは正解と思える。どーも、ターミナルの設定が以前に登場した「ガバナーの町」と似通っている。「そこに行けば平和な暮しが待っている......でも、実は...」というのが同じ。テレビシリーズはシーンズンを追うごとに、繰り返しが多くなり、面白さが激減することが多い。つまり、ネタがなくなってくるのである。

あれほど面白かった「HEROES」も第4シーズンはもう「何これ?」というレベル。「WD」もシーズン5を迎え、「ついにダウンか?」と思えたが、ターミナル編は1話で終わり? この展開では面白くならないと製作サイドが判断したのか? これはよい展開。舞台は「病院のある町」へ。それもシーズン5前半で完結して、後半戦はさらなる別の町へ舞台が移る。

ここからが昨日見た部分となる。全8話。8時間かけて一気に見てしまった。前回、病院で知り合った黒人青年の町へ行くところから物語はスタート。謎の人物と出会い、「壁のある町」に招かれることになる。そこは壁に囲まれた安全な場所で、電気もガスもあり、安全に暮らせるという。ん? 先に書いたように、それはすでに「ガバナーの町」でやり、「ターミナル」でもやりかけて、1話で終わらせている。

「また安全な町?」と思えた。「町の住人はいい人たちだと思わせて実は.....」このパターンは先の2編ですでに実践。3度目は駄目でしょう?と思っていたが、なかなか見せてくれる。そう、視聴者は「また同じパターンだろ?」と思っているのに、出て来る人がみんないい人なのだ。「え??? 本当にいい人なの? じゃあ、このままリックたちは、この町に住んじゃうの?」という今までにないサスペンスが盛り上がってくる。そして、町の住人に悪意はないんだけど...やがて悲しい展開が....そして、あの愛すべき人たちが無惨な死を遂げて行く...。

この先はこれから見る人たちのために内緒。だが、シーズン5後半戦もいろいろと感じるところがあった。最初、このシリーズを見始めたとき、これは日本の物語だと思えた。というのも、ゾンビたちに追われて逃げる主人公たち。どこに行ってもゾンビの群れ。その中で家族を守りながら戦う。でも、敵はゾンビだけでなく、人間の嫉妬、欲望、横暴、権力欲、そんなものが結局、登場人物たちを苦しめていく。これは放射能に追われて逃げる日本人の話だと思えたのだ。

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放射能に汚染された町を離れ、安全な町に移住するのだが、そこにもまた原発が立ち並ぶ。そして、事故が起きた場所でなくても、風で飛ばされて来た放射能に汚染されている町も数多くある。どこに行っても安全な町はない。そして、欲にかられた人たちが情報を隠蔽、人を踏みつけにして生き残ろうとする。同じだ。

さらに「WD」がこれまでのドラマと違うところがある。従来のドラマはレギュラーメンバーは絶対に死なない。「スタートレック」ではカーク船長やスポック。Dr.マッコイは必ず生き残る。そして、子供も絶対に死なない。それがアメリカのテレビドラマだ。なのに「WD」は容赦なし。レギュラーでも、子供でもガンガン殺されて行く。「え?なんで、あの子が...」というエピソードが何度もある。これも日本の現実と同じ。放射能は子供だって容赦しないで襲って来る。いや、むしろ、子供の被害が大きい。福島でも今、多くの子供が甲状腺がんになっている。

そんな日本の現実が「WD」にダブり、主人公リックの息子の存在が僕の良く知る子を思い起こさせる。放射能汚染で別の町に移住した男の子。だから、毎回、涙なしで見れない。でも、現代のドラマ、いや、映画もそうだけど、現実逃避の夢物語ではいけない。ドラマを見ることで、現実を考えさせることが必要。それほど今、時代は混迷しており、ドラマの世界を見つめることで、自分はどうするべきか?を考えることが大事だと思う。

日本のテレビドラマが軒並み低視聴率なのは、その辺に気づかず、相変わらず、浮世離れしたトレンディドラマ風や恋愛物語を描いているせいではないか? 先シーズンに見ていた2つのドラマはまさにそれ。まるで1990年代前半に、バブル景気がいつまでも続くことを信じて疑わなかった日本人が夢や憧れを追いかけていたような物語。そこに危機感や時代の暗さはまるで描かれておらず、視聴率が1%台まで落ちたのは当然だと思える。

そんな中、「WD」のシーズン5後半戦を見て、また新たなことを感じたのだが、長くなったので、次回に書かせてもらう。

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戦後70年。戦争を美化しない映画「サクラ花ー桜花最期の特攻ー」必見だ。 [映画の話]

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長年の友人でもある松村克哉監督の最新作。彼の作品には毎回、文句をつけているのだが、今回はかなりの力作。この時期によく作った。偉い! 最近マスコミでも戦争反対というと何かと批判される風潮があり。戦争を知る世代からは「今、日本は太平洋戦争前の空気がる」といわれる。政府は「安保法案」という名前で「戦争法案」と強行採決。日本は9条がありながら、戦争ができる国になった。

先日、お会いした「野火」の塚本晋也監督も、「今、これを撮らなければ戦争の悲惨さを伝える作品が撮れなくなってしまう」という危険性を感じて、自費を投げ打って「野火」を製作したといっていた。大ヒットした映画「永遠の0」のように特攻隊を美化する映画を見ていると、戦争もまた素晴らしいと思う人たちも増えているはず。

そんな中、松村監督は同じ特攻を題材にしながら、涙と感動で誤摩化すことなく、特攻=自殺攻撃を描いている。友人だから褒めるのではない。むしろ、長年の友人だからこそ、いつもハッキリ感想をいうのだが、今回の「サクラは花」は本当に素晴らしい。僕は劇中に登場する特攻機「桜花」(おうか)の本物を留学中に見ている。ロスアンゼルスのチノにある航空博物館に展示されているのだ。

本当に小さな飛行機で、まるで空飛ぶ人間魚雷。それに乗せられた若い兵隊が飛行機ごと、敵艦に体当たりして自爆するために作られた戦闘機なのである。その悲惨さをやり切れなさを「永遠の0」のように美化することなく描いた「サクラ花」。

美しくない戦争。カッコよくない戦争をまっすぐに描き、観るものの心を抉る。これが戦争。今、日本人が観るべき映画だ。残念ながら映画館では公開されない。各地のホールで上映。以下のサイトから調べて、御近くで見て頂けると嬉しい。

公式HP=>http://www.sakurabana-movie.jp/index.html



シーズン5の後半が出てる! [映画の話]

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あーーー、

シーズン5の後半が出てる!

なのに、全部貸し出し中〜〜〜

悔しイーーー


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アメリカの大学時代の友人。新作が日本でDVDになっている! [映画の話]

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アメリカの大学時代の友人。新作が日本でDVDになっている!


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「ひめゆりの塔」 [映画の話]

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辛すぎる、、、心が抉れた、、。

これが戦争。

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かなり面白かった! [映画の話]

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 かなり面白かった。

 ドキドキ、ハラハラ。


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リドリースコット。凄い! [映画の話]

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 リドリースコット。凄い!

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シャアの幼年時代 [映画の話]

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 なかなか、よく出来てた!

 続きが楽しみ。


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