SSブログ

【目先のことに囚われてしまう人。考える力が大切な時代ではないか?】 [【再掲載】]

12339081_940512579356380_1052392157678628822_o.jpg

【目先のことに囚われてしまう人。考える力が大切な時代ではないか?】

もう25年ほど前になる。アルバイトをしながら、シナリオライターを目指し、脚本を書いていた頃の話だ。映画業界で仕事をする先輩が訪ねて来た。僕より10歳ほど上。一世代先輩。面倒見のいい人で、いろいろと応援してくれていた。信頼できる先輩ではあるのだが、少しばかり問題がある。

僕の部屋を訪ねたときのこと。アルバイトしながらシナリオを書いているので貧しく暮らしているという話をすると、「太田。お前、そんなに貧しいんだったら考えないと駄目だ!」と怒り出したのである。

「ビデオデッキはある。6畳の風呂付きアパートに住んでる。こんな贅沢をして、何が貧しいだ!」

が、先輩の指摘は正しくない。彼の青春時代は風呂屋通いは当然、下宿アパートは4畳半だったので「贅沢だ!」というのだが、時代が違う。今、風呂なしの4畳半のアパートを探す方が大変。また、風呂屋の料金も高く、毎日風呂に入ると、風呂付きアパートに住むのと変わりない出費になる。

ビデオデッキにしても、先輩の時代は高級品であり、20万とかしたこともある。が、今は新品でも1万弱で手に入る。それに脚本家を目指している人間が貧しいからと、ビデオデッキを持っていないなんて許されるだろうか?ドラマや映画を録画して、勉強することが大事。先輩は「貧しければビデオを売れ!」というが、売っても何千円にもならない。それよりビデオを駆使して勉強する方が意味がある。

12313993_938546332886338_7214302440103745272_n.jpg


また、先輩はこういう。

「そんなに貧しいなら、もっと狭い部屋に引っ越せばいいだろう?」

これも変。先にも書いたが、風呂なし4畳半のアパートを探すのは大変。実は友人が住んでいるので、実在することは知っているが、そこはかなり都心から離れているが、脚本の売り込み、先輩を訪ねる。映画を見に行く等で新宿や渋谷にはしょっちゅう行かねばならない。家賃が安いからと、遠方に住んでも、結局、電車代が馬鹿高くなり、都内周辺に住む方が安上がりということになる。

また、引っ越しをする資金が何万もかかる。敷金、礼金とか東京では家賃1ヶ月分の6倍が必要。「貧しい」という人間がそれを払うのはかなり厳しい。長い目で見れば、引っ越した方が生活は多少楽になるが、その引っ越しにかなりの額がかかることを先輩は考えずに「だったら、引っ越せ」というのだ。

つまり、先輩は自分が若かったときと当時の僕を比較して「贅沢だ」といい、「デッキを売れ」というが、大した金にはならず、勉強もできなくなり。風呂なし4畳半に住めというが、風呂代や交通費が余計にかかるので節約にはならず、引っ越しをするためには多額の費用がかかる。どれも、的外れなアドバイスなのだ。

「うるさい! 口答えするな!」

と言われたが、帰りに段ボールいっぱいの食料品を買ってくれた。ありがたい。とても、いい先輩なので感謝はしているが、先輩の考え方は間違っていることが多い。憎めない人なのだが、この種のタイプはあなたのそばにもいるのではないか?

決して先輩は頭が悪い訳ではない。が、ものごとを表面的にしか見ていない。年取った人がバイトしている大学生を見ると、「勉強しながら働いて偉いね」というが、学費を稼ぐのではなく、遊ぶ金ほしさにバイトしているだけ。でも、そのお年寄りが若い頃は苦学生が多かったので、それをダブらせて褒めてしまう。バイトする学生は決して偉くはない。が、時代が違うこと把握しないとそんな感想を持ってしまう。

先輩も同じなのだ。今の時代、

ビデオデッキ=贅沢品ではない。むしろ映画の仕事をしたい人間がデッキも持っていないのは努力していないという気がする。ちょっとがんばれば、誰でもデッキは買える。また、売っても大した額にはならない。アパートも4畳半風呂なしの方が安いのは事実だ。が、都心にその手のアパートはほとんどない。あっても、風呂屋通いをすると、安くはなくなる。3日に1度しか風呂に行かない若者。昔は許されたが、今ではバイト先で嫌がられる。

11825614_871027912971514_6740257249980222481_n.jpg

「この中古車は安い!」

と思って買ったら、ガソリンをもの凄く食って、新車を買う方がむしろ経済的だったというようなもの。それで自分が損するのは構わない。が、その考え方を後輩に押し付けるので、その先輩はいい人なのに、皆に煙たがられる。要は洞察力や判断力に問題があるのだ。これまでも何度も書いたが、決してバカではないのに、考える力に乏しい大人がたくさんいる。

ものごとの一面だけを見て判断したり。時代や国の違いを無視して評価する。目先のことに囚われて結果として、利益を得られない。これは日本の学校教育の影響があると思える。つまり、与えられたことをやる。与えられた方法論でやる。自分で問題点を見抜き、対処を考えなくてもいい。与えられないことはやる必要がない。

そんな教育の中で成長してくると、

上から言われない問題には気づかず、生活してしまうのだ。映画の世界でも、俳優でも、芸人さんでも、成功するのは「芸」に秀でた人だけではない。業界のシステムを理解し、自身の能力を把握。それをどのようにアピールして、力を発揮して行くか? を考えている。言われることしかできない人はやがて捨てられる。問題があることを気づかずに、その枠内で仕事をしていると大変なことになる。

なぜ、大変なことになるのか? なぜ、うまくいかないのか? どうすれば実力を発揮することができるのか? それを考える力が必要とされる時代なのだ。昔通り言われたことをやっているだけでは、大変なことになってしまう。

12313885_937540669653571_9100798436737504948_n.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。