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最近の日本映画は面白い映画を作るより、スポンサーの顔を潰さないことが大事? そこに映画愛はあるかい? [映画業界物語]

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 映画の作り方はいろいろあるが、

 今回は実行委員会方式を紹介する。スタートもいろんなパターンがあるが、例えば製作会社が企画を立ち上げる。人気漫画の「*****」を映画化しようと考える。まず、製作費。最初は原作を出している出版社にアプローチ。そしてテレビ局、レコード会社、ビデオ会社、映画によく投資している企業。さらには俳優事務所。

 それぞれの会社が出資。例えば10億円集まったとする。それが製作費となりスタートする。当然、出資している俳優事務所から主演俳優は選ばれる。或いは、主演にしたい俳優のいる事務所に出資を頼む。DVDは出資したビデオメーカーから発売。テレビ放映は出資したテレビ局だ。各社からプロデュサーが出されて、製作会社が幹事となり、制作を進める。

 シナリオライターを決める。

 「同じ原作者の漫画を映画化したベテランのAにしょう!」とか決まる。書かれたシナリオは各社にまわされて、意見が出される。俳優事務所は特にうるさく言って来る。「うちの***の出番が少ない。もっと増やせ」「主題歌もうちの***に歌わせたい。歌手デビューも考えている」という感じ。

 そんな進行と同時に監督も決める。誰がいいか? 原作はSFものなので、若手がいいだろう。「怪獣ものが得意なB監督がいいのではないか?」とか話が出るが、以前にも書いた通り、製作委員会方式では、いろんな人がいろんなことをいう。それをうまくまとめて、不満が出ないようにすることが大事。我慢強く、協調性があり、自己主張の少ない監督が求められる。

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「怪獣が得意のB監督は傲慢なところがある。だから、おとなしくて、何でもいうことを聞くC監督にしよう!」とか考えてしまう。C監督はSFものはまるで苦手だとしても、そんな理由で決まることが多い。他にも、スポンサーのD社長はある女優のファン。で、その子をキャスティングする。音楽はE社が応援している作曲家にしよう。と、皆が満足するように行われる。

 さ、これでお分かりだろう。

 この場合。一番大事なのはスポンサーの顔を立てるということ。いい映画を作る。おもしろい作品を作るではない。もちろん、表面的に「素晴らしい映画にしよう」とはいうが、各社がそれぞれのプラスを求めていては、いい作品にはならない。そして監督からの要望はほとんど実現しない。キャストはすでに決まっていたり。音楽も知らない人。主題歌が上がって来て聴くと、物語とは全くテイストが違う。でも、それをエンディングに流さなければならない。

 おまけに、C監督はSFが好きではない。最初からやる気が起こらない。実質的な仕事は多くの人の顔を潰さぬように、各社の意見を調整。取り入れること。こうして、多くの力ある企業が参加。巨額の製作費が動き、多くのメディアを使って大宣伝される。映画館も都心にある大手シネコン。でも、考えてほしい。この作品に愛がある人がいるのか?

 原作はベストセラーだからという理由で決まった。

 プロデュサーが惚れ込んだ訳ではない。監督はSFが好きではない。原作に思いがある訳ではない。彼の思いとは関係なしに主題歌が作られ、キャストが決まる。出資会社もそれぞれのメリットがあるから参加している。愛がどこにもないまま。形として映画が作られる。これでいいものができる訳がない。

 黒澤明の映画がなぜ、素晴らしいか? それは黒澤が「これを作りたい!」という思いがある題材を、黒澤自身が選んだスタッフ、キャストで作るからだ。ハリウッドのルーカスも、スピルバーグも、キャメロンも、同じだ。皆、監督たちが「これをやりたい!」という作品を作り、誰が何といおうが監督が全て人選、決定するから名作になり、大ヒット作となる。それが映画というもの。

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 それに対して、今の日本映画。

 この製作委員会方式は誰も「思い」がない。監督さえも愛を感じていない。皆の顔を立てることが優先。だから、詰まらない作品しかできないのである。もちろん、この方式でも多少違った展開をすることはあるが、大差はない。例えば、監督が原作に惚れて参加したとしても、その原作に相応しい俳優を使おうとすると、俳優事務所から「うちから選べ!」といわれ、テレビ局からは「その俳優は知名度がないから、客を呼べない!」と止められる。

  結局、監督の提案も意図も無視されて、出資企業が都合のいい形で制作が進むのである。結果、人気俳優が競演、スケールは大きく、まずまず面白いが、心に残らない作品になるか? どーにか出来ました〜というレベルの映画となることが多い。これが日本映画の作り方の1つ。いいものができる訳がない。愛のない人たちが金儲けだけのために、映画を作っているのだ。これでは感動作も、ヒット作も生まれない.....。

 だから、僕はその種の製作委員会方式の仕事は絶対にしない。太田組方式で映画を作る。が、その手法はまた別の機会に、、、

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正月の深夜番組。「小泉今日子 50歳 ニューヨーク」を見ていた。 [2016年]

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 深夜にテレビをつけると「小泉今日子 50歳 ニューヨーク」

 という番組を放送していた。ニューヨークは大好きな町だし、小泉今日子は懐かしい。KYON2ももう50歳か.......ま、僕も今年55歳だから、当然か?ニューヨークは1988年に訪れた。毎日、ミュージカルを見た.....。余裕ができたら、また行きたい街。

 キョンキョンの旅。最後に訪れたのは1軒のライブハウス。そこでピアノを弾いていたのは大江千里。彼は80年代後半から90年代にかけて、シンガーソングライターとして活躍。松田聖子、薬師丸ひろ子、渡辺美里等に曲を提供。それが2008年に日本での活動を休止、全てを捨ててニューヨークに渡り、ジャズピアニストになったいう。

 スゴイ!

 彼ほどではないが、僕も23歳まで横浜で自主映画活動をしており、映画の仕事をしていたが、ロサンゼルスに留学した。このままでは行けないと思え、全部終わりにしてアメリカを目指した。何だか、大江千里の気持ちが分かる。関係ないけど生まれた月も日も同じ。でも、彼は1つ上。そんな大江千里がニューヨークのライブハウスで、キョンキョンの歌をピアノで弾く。

 「あなたに会えてよかった」

 仕事を捨ててニューヨークかあ。でも、大江千里はピアノを弾くという技術がある。僕がマネをしても、映画監督は何もできない。カメラマンならまだ行けるけど、監督はほんとダメ。しかし、50歳を超えてから遠い国に行き、新たな挑戦というのは素敵だ。

 そんなことを考えていると、エンドロールでナレーションが「佐津川愛美」と出ていた。僕の「ストロベリーフィールズ」に出てくれた女優さん。んーー、相変わらず活躍している!うれしい。

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【感動作を監督しようとすると貧しく。そこそこの映画を撮れば生活が安定する?】 [映画業界物語]

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【感動作を監督しようとすると貧しく。そこそこの映画を撮れば生活が安定する?】

少し前になるが、あるプロデュサーから新作映画の相談を受けた。ストーリーを聞き、イメージするキャスティングを聞き、制作母体について説明された。かなり大規模。有名俳優もたくさん出演。製作委員会方式のメジャー映画。製作費は*億円。題材はスタンダードだが、切り口が新鮮。

 まだ、実現するか?

 どうかは分からないが、その企画を進めていて、その監督候補に「太田君はどう?」と言われた。彼は何年も前から僕の演出力を評価してくれており、前々から「一緒に映画を作ろう!」といってくれているのだが、なかなかタイミングが合わない。そして「向日葵」が間もなく公開終了になるのを知り、声をかけてくれたのだ。

もちろん、その映画はまだ正式にスタートしていない。これから製作費を集め、俳優たちに交渉。進めて行くので、中止になるかもしれない。が、その監督候補にどうか?といってくれたのだ。本当に嬉しい話だし、ありがたい話だ。が、お断りした。「えーーーもったいない!」と友人にも言われたが、その枠組みと企画を見て、僕では貢献できない思えた。簡単にいうと、感動作を作ることのできない枠組みだからだ。

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 まず、スポンサー。大手が入りそうだ。

 何より製作委員会方式。つまり、多くの企業が出資して1本の映画を作るというやり方。この場合、それぞれの企業がいろんなことを主張する。「我が社のCMに出ている**子を出してほしい」「社長と懇意にしているタレントの***をゲストで出せ」「音楽は若者に人気の****にしてほしい」「ロケ地は我が社の工場のある***市で!」金を出す会社は必ず口も出す。

 俳優候補も決まっている。

 大手事務所に所属。そこはいろんな口出しをすることで有名なところ。シナリオや演出にまであれこれいってくる。「主題歌を主演俳優に歌わせろ」とも言うだろう。ま、大作映画となると、企業も事務所もいろいろ主張するのが当然なのだが、その調整役が結果、監督がすることになる。「人気俳優***さんの見せ場を作りますから」「音楽はA社のCMを担当している。**さんにするので、ロケ地はB社さんのお膝元で!」とか、全ての出資者の顔が立つように考えねばならない。

また、内容、物語についても、映画の脚本を読んだこともない人たちの意見を取り入れなければならない。正反対のことをいってくる人もいる。10人いれば、10人が違う意見をいう。それを取り入れないとヘソを曲げ「だったら、出資しない!」とか言い出したりする。しかし、その手の意見のほとんどは趣味嗜好による「感想」にしか過ぎない。「完成した映画がどうなるのか?」を正確に予想して、よりよくなるための提案ではない。

では、関係者全てが納得するシナリオにするにはどうすればいいのか? それは無難でよくあるパターンの物語にすること。誰も賞賛はしないが、文句は出ないストーリーにすることなのだ。逆にいえばシナリオ段階で一般の人たち=カタギのビジネスマンが賞賛する物語が映画になったときに、感動大作になることはまずない。むしろ、全員が反対したシナリオの方が可能性がある。


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 考えてほしい。

 新しい料理を決めるのに、そのレンストランに出資した料理人ではない、ビジネスマンたちが、好みの味やスタイルを様々に主張して、それを取り入れてシェフが料理を作って、美味しいものができる訳がない。それと同じ理由で製作委員会方式の映画のクオリティは低くなってしまう。

そんなスタイルの映画にはどんな監督が相応しいのか? 自己主張をせず、協調性があり、我慢強く、温厚で、こだわりがなく、それでいて、それなりの作品を作る力量のあるタイプでないといけないのだ。これで分かってもらえたと思うが、僕と真逆のタイプである。僕は作家性が強く、自分が作りたいものを作る。人のいうことを聞かない。協調性がない。ワガママで、こだわりがある。その代わり、必ず、いいものを作る(?)というタイプだ。

候補に上げてくれたことは光栄だが、もし、その映画を監督したら、数日で問題を起こし、クビになるか? 自分から降りるかだ。何より、出資者たちは感動大作を作ろうとは思っていない。表面的にはそういうが、「どうすれば感動作になるか?」が仕事の方々ではない。なので「いかに自社にプラスになるか?」「社長や関係者が喜ぶか?」あとは「ヒットさせて儲かるか?」が重要なのである。つまり、この企画で大事なのは、感動作を作るより、各社が揉めずに撮影を終え、公開させることが、何よりの優先事項となる。

 「感動作が出来た!」というより

 「皆が不満なく、仲良くやること」が大事なのだ。「いい映画が出来たけど、A社とB社が途中で降りちゃったなあ」では困る。むしろ「ま、作品はそこそこだけど、無事完成したし、皆、そこそも満足してくれたので良かったなあ」ということが大切なのである。その目的からすると、僕のような監督は不協和音を起こす、とんでもないヤツでしかない。

だから、せっかくの好意だが、それを受けることはそのプロデュサーに迷惑をかけることなので、お断りした。ここで、もうひとつ分かること。そのタイプの映画を受けて、そこそこのものが作れる監督こそ、定期的に仕事がもらえて、評価されるということ。候補者の推薦を頼まれたので、何人か上げたが、名前を上げながら「あ、みんな手堅く仕事している人ばかりだ!」と感じた。


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んーーー、「違うな」「これはダメだ」と思っても我慢して監督することが仕事としては大事なんだなあ〜と、改めて感じた。が、それが出来れば苦労しない。僕のモットーは「観客が感動する映画」作りであり「出資企業からの要望を調整して、映画を作ること」ではない。

 それではそこそこの作品しかできない。

 そこそこが出来たら大成功であり、ほとんどが、どーしようもない作品になるだろう。誰もが大手企業の大作を見て「何で、ここまで詰まらないの?」と思ったことがあるはず。今年もそんな大作が何本もあったが、その理由は多くの人が口を出すからだ。

映画を始めとする「作品」というのは、みんなで仲良く作るものではない。強い思いを持つ1人のクリエーターを支持して、多くの人の力を注ぐことが、素晴らしい作品を作る唯一の方法なのだ。それが製作委員会方式ではできない。あれこれ口うるさい俳優事務所が参加すると、うまくいかないことが多い。そんな訳で、本当に申し訳ないが候補段階で辞退させてもらった。同時に、だからいつまで経っても、僕は生活が安定しないことも感じた。

 素敵な映画を作りたいなら、

 厳しい生活で大変な思いをするということ。生活を安定させたいなら「思い」のない映画も作らねばならないということ。はははは、やっぱ無理だよなあ〜。


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人気記事アンコール掲載part2も、好評でした。 [昨年アクセス数500超え記事紹介]

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 昨年、9月以降で500アクセスを超えた記事

 アンコールで再掲載してみた。

 その数13本ほど。

 好評で、どれも多くのアクセスを頂いた。

 余裕があれば、他の記事で人気のものをアンコール掲載してみたい。

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「向日葵の丘 1983年夏」昨夜、完成披露試写会。大盛況! [昨年アクセス数500超え記事紹介]

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「向日葵の丘 1983年夏」おかげさまで昨夜、完成披露試写会が行われました。

場内は満員。多くの人が詰めかけ盛況。

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常盤貴子さん他メインの6人の俳優が舞台挨拶(僕も登壇)会場を盛り上げました。

東京で22日(土)から先行ロードショー。品川プリンスシネマで公開。

いよいよ、あと2週間!

完成披露試写会では以下のメディアが記事にしてくれました。

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・映画情報どっとこむ
http://eigajoho.com/?p=31549
 ・

・シネマトゥデイ 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00000029-flix-movi

・日テレNEWS24 ワンセグ芸能情報 

・マイナビニュース 

・ライター 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00038323-crankinn-ent

・テレビ朝日 報道部情報センター 


・毎日新聞デジタル 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00000017-mantan-ent

・Movie Highway

・映画.com 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00000019-eiga-movi

・オリコンNewS
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00010001-oricv-ent

・スポーツ報知 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00000214-sph-ent

・デイリースポーツ 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150807-00000087-dal-ent

・サンケイスポーツ 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150808-00000026-sanspo-movi

動画

https://youtu.be/5Z56cNKSHIY

https://youtu.be/Xq9XL6UMs3s


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笑いと感動しっぱなしのストーリー「向日葵の丘」試写会での感想(40代・会社員男性) [昨年アクセス数500超え記事紹介]

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[昨年アクセス数500超え記事紹介]

笑いと感動しっぱなしのストーリー「向日葵の丘」試写会での感想(40代・会社員男性)

「この向日葵の丘は、様々な感動的なドラマに誰もが何処かで共感できるところがあり、笑いや感動しっぱなしのストーリー。

見た目も内容も凄く綺麗な作品で、最後は忘れてしまっていた大切な何かを思い出させてくれるラストで、優しい気持ちになりました。

今回はストーリーにどっぷり浸かってしまったので、次回はカメラワークや、編集ポイントや音楽等、今回見落としてしまった部分をがっつりしっかりチェックできたらなと思ってます!」





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