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【体が疲れ果てると、心も疲れ果てる。未来が見えなくなる?】 [公開終了後]

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【体が疲れ果てると、心も疲れ果てる。未来が見えなくなる?】

ここ数日、寝込んでいた。僕は意思が強く、前向きな方だと思っているが、やはり過労でダウンし、寝込むと、考え方が暗くなり、後ろ向きになってしまう。病気の人がネガティブになることよく分かる。4年前。あのときもベッドの上で、あれこれ絶望的な思いをしたことも思い出す。

映画というのは本当に厳しい世界。他の仕事もしなければ生活ができない。やはり仕事というより人生を賭けた戦いなのだと思う。もちろん、適当なものを作り、予定調和で「こんなもんでしょう〜?」といっていればお仕事で済む。それをギャラを超えて行動し、プライベートも、睡眠時間も削って作品作りに賭けないと、本当にいいものはできない。

午後5時だから仕事終わりとか。日曜だから休みーではダメ。6人7人分の仕事をして、寝る時間を削り、製作費以上の努力をしなければ、素晴らしい作品にはならない。そして宣伝も人任せではダメ。監督が率先してやらないとヒットしない。日本中を飛び回り、映画の感動を伝えなければならない。

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だが、やり終わったときに残るのは、ボロボロになった体と、疲れ果てた心。待っているのは長期に渡る自宅入院生活。それならまだいい。本当に入院。過労死ということもありえる。黒澤明監督も、映画が完成すると倒れて入院する。そのときに病院の窓から地上を見下ろすと飛び降りてしまいたくなるという。あれほどの巨匠でも心も体も疲れ果ててしまうのだ。

そんなことをベッドの上で考える。体が限界を超えた状態はまるでフォースの暗黒面に囚われて行くような苦しさがある。何度も怖い夢を見て、はっと目が覚めると、あー夢か〜と思うのだけど、具体的には思い出せない。深夜に1人起きたまま、ヨロヨロとたち上がり、水を飲む。いつになったら、外出できるのか? 元気になれるのか? もう、何年もこのままではないか? そのうち貯金も尽きて、路頭に迷う? アパートを追い出されて、新宿駅で段ボール生活?

そんなことばかり考えてしまう。映画スタッフならいろいろ仕事があるが、監督業の需要は少ない。待っていて依頼が来るのは本当にまれ。自分で企画して、自分で動かなければならない。でも、そのためには何年もかかる。どーすればいい? 4年前にベッドの上で、天井を見ながら考えたことを思い出す。どー考えても明るい未来は想像できず。さらに迷路から出る事ができない。

健康を損なうと、そんなふうに希望や未来さえも見えなくなる。結局、4年前は半年ほど寝込んで、その後、思いもかけなかった作品、「朝日のあたる家」に繋がっていくのだが、さて、今回はどうなるのか? そんなことを考えながら、この数日。寝込んでいた。でも、まず、元気になるのこと。しばらくは休養をとること。そうしてこそ、未来への可能性が見えてくるはずだ。


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【「原発ホワイトアウト」今頃読んでいます。どんな小説か少し紹介!】 [読書の話]

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【「原発ホワイトアウト」今頃読んでいます。どんな小説か少し紹介!】

現役キャリア官僚のリアル告発ノベルーとして話題になった小説「原発ホワイトアウト」。ベストセラーにもなり、テレビや雑誌でもあちこちで取り上げられた。「朝日のあたる家」を監督した僕なら当然、読んでなければならない本なのに、実は今、読んでいる。あー遅過ぎ!

その理由は発売が2013年の9月。つまり、僕はすでに「朝日」のシナリオを書き上げ、撮影も済ませ。編集して、映画館で公開された頃に発売されたからだ。取材中にはまだ世に出ていなかったのだ。そして、映画公開後は怒濤のような宣伝活動。日本縦断舞台挨拶ツアー。さらに、それとダブって「向日葵の丘」の準備。「朝日」公開終了から数ヶ月で「向日葵」撮影。

そして「向日葵」の全国公開が終わったのは今月。という訳で僕はその本を読む時間が本当になかったのだ。「努力が足りない!」と言われるかもしれないが、この間の行動はこのFacebookにも記録してきたが、監督業だけでなく7人分くらいの仕事をこの4年間続けて来ており、とりあえず、目の前に迫る問題や目標を追いかけるので精一杯だった。そんな訳で、毎度のことだが、過労で倒れてから、ベッドの上で、読めなかった本を読んでいる。

さて、中身だが、なぜ、この本「原発ホワイトアウト」が話題になったかは、マスコミで言われているので知っていた。現役のキャリア官僚が書いた小説だからだ。つまり、物語の形をとってはいるが、たぶん、中身は事実ということなのだろう。実名では書けないので、物語の形を借りて描いているどころ。「へーーーそんなことあったのかあ!」「実はこういうことか?」という驚きがあると思えた。

ただ、心配だったのは作者は官僚であり、プロの作家ではない。以前、ライター時代に現役新聞記者が書いた小説というのを読み、ある雑誌上でインタビューさせて頂いたこともある。こちらも現場をご存知な方。新聞では記事にできない事実を小説に織り交ぜていると思える。が、その方もやはり本来はプロの作家ではないので、文章がもう一息なのだ。やはり、読ませる力が弱い。「ジャッカルの日」のフレデリック・フォーサイスも元ロイターの特派員だが、小説も面白かった。が、それはまれなこと。

「原発ホワイトアウト」もそんなところがあるのでは?と心配していた。読んでみると、確かに、その部分はある。だが、うまい手法を使っているのは、「ジャッカルの日」のように、事実を盛り込むことで、物語を面白くするのではなく。事実を伝えるために、小説的表現をしているのである。つまり、物語としてのエンタテイメントが目的ではなく、原発ムラや政府側、電力会社の事実、或いは思惑、正体を伝えることが目的なのだ。

なるほど、そういうことか! 読んでいくと山本太郎さんや泉田知事をモデルにした登場人物も出て来る。なぜか、古賀茂明さんだけは実名で登場する。そこからも分かるのは、内部事情を告発する上で、実名にするより、物語にすることで様々な障害を取り除いたということなのだろう。作者が官僚なだけに、官僚のパートは面白い。あの人たちはこんなことを考えているのか? なるほど〜だから、あんなこというのね?とか納得できることがかなりある。次回はその辺を具体的に紹介したい。


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