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30年前の映画は覚えているのに、1年前のドラマが思い出せない理由 [再・opinion]

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映画とテレビドラマの違いって何だろう? 

 映画はお金払うけど、テレビはタダ?だし自宅で見れる。だから、テレビ見る? んー最近の映画はテレビドラマと大差ないものが多いので、それはそれで正解かもしれない。では、こんな質問。1年前の月9のタイトルは? 誰が出演していた? 思い出せるかな? こう訊いてすぐにタイトルを上げた人はまずいないだろう。

では、この質問。

 青春時代に見た映画で最も思い出に残る映画のタイトルを上げて下さい。これは言えるだろう。僕らの世代なら「転校生」「時をかける少女」「アメリカングラフィティ」「ビッグウエンズデー」といろいろ出て来る。あらすじだって言える。キャストの名前もすぐ上がる。僕の世代にとって、それら作品は30年前のもの。なぜ、1年前の作品は思い出せないのに、30年前は思い出せるのか?

これは全ての世代に共通するのだが、

過去に観た映画は詳しく覚えているのに、テレビドラマはあまり覚えていないのだ。同じことはレンタルビデオ(DVD)店にも言える。30年前どころか50年前の映画でもDVDがあるのに、10年前の連ドラマが置かれている店はほとんどない。「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」が今も店頭にならぶところはまずない。

なぜか? 借りる人がいないからだ。

30年前の映画のDVDを借りる人はいても、1年前のテレビドラマを借りる人がいない。だから、店側は撤去してしまうのだ。こう考えて行くと見えて来る。テレビドラマは当たれば、もの凄い数の人が見る。でも、それは放送中と、その少しあとまでで、1年も経つと見向きされなくなり、すぐに忘れてしまう。

それに対して映画は

高視聴率のドラマほど多くの人は見ないが、何年経っても観た人は映画のことを忘れず。30年以上経ってもレンタル店にDVDが並び。歳月を超えて見られるのだ。何が違うのか? テレビドラマだって感動的な作品はあるのに、なぜ、1年経つと忘れてしまい。タイトルさえ思い出せなくなるのか?

思うのだが、テレビドラマはドラマとは言え、

ニュースと同じように「情報」だからではないか? それに対して映画は「体験」? ニュースで悲しい事件が報道されれば、胸が詰まることがある。でも、それもすぐに忘れる。情報だからだ。受験勉強で覚えた「知識」と同じようにそのときだけで、すぐに忘れる。

対して映画は「体験」。

映画館の暗闇で物語を観るというのは、情報ではなく、観客が主人公と共に恋や冒険を体験するのだ。悲しみや喜びを共有する。だから、感動を忘れない。情報や知識ではなく、体験。そう考えると、情報は1年もすれば忘れるが、体験は一生忘れない。映画とテレビドラマも同じものではないか?

それとテレビドラマは時間に追われて

作らねばならない。1週間に1話放送する。そのためには早く撮影する必要がある。台詞さえ間違わなければOKという現場が多い。もちろん、映画並みに粘って、時間もお金もかけて作るドラマもある。例えば「北の国から」そんなドラマは忘れないが、ほとんどのドラマを忘れるのは、お手軽に作っているからという事情もありそうだ。

それに対して映画。

近年はテレビドラマの方が予算がかかっていたりするのだが、それでもこだわりを続ける現場が多い。女優が泣くシーンで泣けないと、テレビではすぐ「目薬!」となるが、映画では泣けるまで待つというチームも多い。予算がなくても、時間がなくても、ギリギリまでがんばる。

もちろん、テレビの深夜ドラマ以下の

お手軽映画というのもあるが、それはすぐに忘れられる。つまり、映画を覚えているのは、映画人たちがブラック企業も顔負けの安い賃金で長時間働き、少しでもいいものを作ろうとするからではないか?

つまり「思い」なのだ。

テレビドラマは「視聴率」と「クレーム」をもの凄く気にする。テーマやメッセージにこだわってられないことも多い。いかにしてスポンサーを集めるか? 視聴者から苦情が来ないか?が重要となる。それに対して映画はメッセージやテーマを伝えるために製作される(テレビ局が作る映画は別。あれはドラマの延長戦)お金がなくても、伝えたいものがある!という監督らの思いが籠る。そこが大きな違いではないだろうか?

実は80年代には素晴らしいテレビドラマ

がたくさんあった。一生忘れない物語をいくつも見た。山田太一、倉本聰らが脚本を書いたドラマだ。なぜ、忘れないか?それは作家たちの強烈な「思い」があったからだろう。こう考えて行くと、大切なのは「思い」ということ。それを実践するには今のテレビ界では作り辛い。映画の世界は貧しくても、それが可能。「思い」を込めて作られた映画は胸を打ち、30年経っても感動を忘れない。そこがドラマと映画の大きな違いだと思える。



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