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永田よしのりの映画講座③~テレビ局主導の劇場版映画製作~ [【再掲載】]

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by 永田よしのり(映画文筆家)


 今回は映画の宣伝について書いていこう。

 大手映画会社の場合は、その作品を宣伝するための宣伝費も確保でき、その宣伝スポットによって一般大衆の興味をひき、劇場に観客が訪れる、ということになるのだが、独立系インディペンデント映画ではその宣伝費をなかなか捻出することが出来ない、という絶対的な事実がある。

 ここ10年ほどは、純粋に映画会社が製作する映画というものは減ってきていて、地上派のテレビ局が出資して、映画製作するという方向にシフトされている。

 これは地上派でのテレビ放送ありき、の映画製作であり、それなくしてはテレビ局の映画製作出資はありえない。

 だから、ついこの間劇場でかかってたよなあ、

 と思うものでもすぐに地上派で放送できてしまうのだ。そこで、放送枠からスポンサーをつけてスポンサー料を稼ぐわけだ。

 ひと昔前は、映画が劇場で公開されたら、少なくとも上映期間が終わってから半年経たなければ、映像ソフト化しない、というルールがあった。

 テレビ放送も同じで、新作映画を地上派で放送するのには、どんなに早くても1年後、というお約束があったのだが、今ではそんなものは存在しない。

 なぜなら、テレビ局が、出資して製作、劇場でかけているからで、そこにはテレビで放送してスポンサー料金を稼ぐという目的があるからだ。つまり、人々の記憶が新しいうちに、劇場に上乗せして稼ごうという意志があるため。

 もう、二重取りに近い。

 映画館でお金を払って映画を見たら、その数カ月後にその映画がテレビで放送されるのが分かっているならば、普通は映画館には行かないだろう。

 だから、テレビ局製作主導のものは、テレビドラマの続編やスピンオフものが多く、最近では最終回を劇場版で、などという手法もまかり通っている。

 つまり、映画を映画として大事に扱おうという考えは全くないのだ。あくまでお金を稼ぐ手段のひとつとして、テレビドラマを劇場でかけているだけのこと。そこでそこそこの集客が認められたならば、テレビ放送する時にスポンサー収入を取りやすくなる。

 そんなものに〃映画愛〃がないのは、当たり前だろう。

 そして、そうした製作費を出してくれる所がなければ映画を製作することが出来ない、というのも事実。

 だから、映画はどんどんテレビドラマ化してきてしまっているのだ。このテレビドラマ化というのは、自宅で見ている画面サイズと同じものを劇場で見せられてる、という意味と、テレビドラマの製作スケジュール順守の傾向が、劇場作品にも現れ始めている、という点についてのこと(もちろん全てがそうだとは言わないし、テレビドラマだとしてもクオリティの高いものは必ず存在しているのも事実。だが、めったにはないと思う)。

 スケジュールが絶対の現場では、

 役者は最初に決められたこと以外はまず出来ない。

 そこには役者自身が演技にそれを発露させる面白みはまず生まれないのではないだろうか。

(つづく)


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