SSブログ

【向日葵の丘」藤田朋子さんが演じたエリカ役はいかにして誕生したか?】 [インサイド・ストーリー]

CPZRsxsUkAAkCii-1-5046c.jpg

【向日葵の丘」藤田朋子さんが演じたエリカ役はいかにして誕生したか?】

常盤貴子さん演じる多香子。田中美里さん演じるみどり。この2人の役がいかにして誕生したか?2回に渡ってご紹介した。ここまで来たらやはり、藤田朋子さん演じるエリカも書かねばなるまい。

前者2人は以前に書いたようにモデルがいる。多香子は衛星放送の女性ディレクター。みどりは僕の高校時代の友人。さあ、エリカはどうか? 実はエリカは全然違う発想で作られた。

今回、映画研究部の3人と、その後として物語を作った。その際に主人公は3人にした。多香子はご存知の通り、30年近い歳月を悲しみを抱えて生きて来た。みどりは余命幾ばくもない悲しい境遇。そうなると3人目も悲しいと、とても暗い物語になる。「魔法使いサリー」で言えば、サリーは真面目で一途、すみれちゃんは優等生。だから、ヨッちゃんは3枚目でコミカルなのだ。物語は3人とも真面目でシリアスではいけない。

で、考えた。3人目は普通ではいけない。といって3枚目も当たり前。それぞれに個性がほしい。よく女の子が複数登場する物語は、皆似たようなタイプになることが多い。多くが元気で可愛いタイプ。主人公以外は同じに見える。そこで3人目は笑いが取れるけど、3枚目ではなく、どちらかというとクールなタイプがいいかな?と考えた。

それと同時に、前々から「いつか藤田朋子さんに僕の監督作に出てほしい!」という思いがあった。彼女とは1995年の日米合作ドラマ「GAIJINー開国」という作品でご一緒して、その凄さを痛感。日本の女優を超えるもの凄い存在だと感じた。それ以来、いつか僕の映画に!と考えていた。が、僕は監督デビューすらしておらず。それから15年後。2010年の「青い青い空」で先に藤田さんから「出たい!」とアプローチをしてくれて、特別出演とあいなった。感謝。

その辺は「青い青い空ー監督日記」のこの章で=> http://takafumiota08.blog.so-net.ne.jp/2012-07-11   

(以下の写真。藤田さんと僕 6年前の2009年)
E69C8BE5AD90E381A1E38283E38293E381A8.jpg

しかし、彼女は国民的女優。誰もが知る存在。その後も、彼女の人気を利用するような出演をしてもらうのは気が引けた。また「渡る世間」等のおしゃまな朋子ちゃんキャラをお願いするのも嫌だった。これまで彼女が演じたことのない「おーこれは面白そう!」と思ってくれる役でないとお願いしないと決める。本当に彼女に相応しい役を思いついてこそ、依頼すべき。それが仁義だ。20年考えて、ついに思いついたのが帰国子女の役。英語が得意で、ちょっとぶっ飛んでいる。クールにものごとを見ているけど、本当は寂しがり屋の役。

それを藤田さんが演じてくれれば、かなりいいかも? と思えた。そこまで考えて、その役を「向日葵の丘」3人組の1人にもって来れるなあ!と気づいた。それがエリカとなる。そこから、あれこれ考えて、映画が好き=>学校でいじめられる=>登校拒否=>映画館に入り浸る=>アメリカの大学=>日本が嫌い=>アメリカ人と結婚=>でも、高校時代の思いを抱えている。というエリカを思いついた。

細かな部分はいろんな友達の話を繋ぎ合わせたが、基本、「藤田さんがこんな役を演じるといいなあ〜」と考えて作った。そして、リアリティより少しデフォルメして、アニメティックなキャラに仕上げた。だから、台詞のいい回しが、宝塚歌劇風。台詞も「私」とはいわず「僕」という。別のいい方をすると、シャーロックホームズ風の話し方なのだ。「ワトスン君。いいところに気づいたね!」とかいう感じ。エリカはそこに個性を持たせた。

さらに、他の2人はジーンケリーやオードリーヘップバーンが好きなのに対して、エリカはヒッチコックが好きというのも個性となる。多香子、みどりとは明らかに違うキャラ。だからこそ、他の2人の個性も生きて来て、物語もおもしろくなる。これは藤田朋子という名女優がいてこそ、作ることができたキャラクターである。

11236449_919320921475546_1724968253602052999_o.jpg

だが、藤田さんが気に入らなかったら大変。彼女のために作った役だから、他の人には演じられない。さあ、どーなる?と依頼したら「ぜひ!」という返事が来てほっと一息。長年、出演してほしかった藤田さんにメインキャストの1人を演じてもらうことができた訳だ。そして、多くの観客から「エリカがよかった!」「藤田朋子の存在を忘れて、エリカそのものだと思い映画を見てしまった!」と数々の賞賛を頂いた。

こんなふうに同じメインの3人も、それぞれに違った背景で役が作られている。なのに、画面の中では全然違和感なく、成立している。面白いものでしょう?


ブログ用.jpg
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。