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【なぜ、「向日葵の丘」を2度3度と観るリピーターが多いのか?】 [2倍楽しむ方法?]

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【なぜ、「向日葵の丘」を2度3度と観るリピーターが多いのか?】

「向日葵の丘」もそうだが、僕の映画はリピーターが多い。通常、映画は1度見れば十分なのに、2度見た!3度見たという人が毎回いる。最初は僕自身、そのことを知らなかった。公開中の映画館に行くと、見たことのある人ががいて、「あれ? 初日も並んでいたよなあ」と声をかけ「2度目ですよね?」と訊くと「3度目です...」と言われたこともある。


「青い青い空」に至っては30回以上見た人がいるし、「朝日のあたる家」は2度3度は当たり前!という人たちがかなりいる。そして「向日葵の丘」も3回目、4回目と何人からもいわれた。声の出演をしてくれたタレントのまねだ聖子さんも関係者として、初号試写会に来て頂いたのに、映画館でさらに2度見てくれたという。そんな方、結構いるのだ。

これは何なのか? 例えば、人気アイドルが出ていて、その子を見ているだけでハッピーというファンが何度も見るなら分かるが、そんなアイドルが出ている映画ではない。また、難解なので繰り返し見ないと分からない物語でもない。そして、感動作とはいえ、繰り返し見ると、感動は冷めて泣けなくなっていくのが映画である。

にも関わらず、「何度も見ても泣ける」「見るたびに泣き所かが変わる」といってくれる人たちがいる。僕自身。何度も見れるような作りをしている訳でなく。その辺が以前から疑問だった。ただ、2回、3回見ることであることに気づく作りにはしている。

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例えばタイトルあとの多香子(常盤貴子)の部屋がそれだ。最初、見たときは気づかないが、部屋には1983年パートで活躍する8ミリカメラが置かれている。1度目の人は、「シナリオライターだから8ミリカメラ持ってんのかなあ?」「インテリアなのかな?」

と思うくらいで、深く考えない。が、2度目だと、「あーーー高校時代に映画を撮った8ミリカメラが置かれてるーーー!」と分かり、一連の悲しい物語をこの時点で思い出し、あの悲劇に向かって進んで行く物語をドキドキしながら観ることになる。

1回目は「どうなるんだろう?」「何があったんだろう?」という先が分からないドキドキで物語を追って行くが、2度目は「あんなに楽しそうな高校生生活が、あんなことになるのに....」という先が分かっていることで不安になるハラハラで観ることになる。同じ物語なのに、違った関心事で観ることになり、別の楽しみ方が出来る訳だ。

そして、多香子の部屋にはヒッチコックの本「映画術」も本棚にある。これは「83年編」でエリカ(百川晴香)と最初に出会うときに、彼女が読んでいた本なのだ。そのヒッチコックの映画を3人で初めて見る。そして、みどり(田中美里)の子供たちがヒッチコック映画が好きになり、繰り返し見ていたように、脚本家になった多香子(常盤貴子)もヒッチコックを勉強して、自作のシナリオに生かしているであろうことも想像できる。

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また、8ミリカメラは後半戦の現代編でも、多香子はまず、病室のみどり(田中美里)に見せ、次に、映画館でエリカ(藤田朋子)に見せる。カメラが親友たちとの絆と思い出を取り戻す役割を果たしている。そのカメラが多香子の部屋に置かれているだけで、2度目の観客はこれから展開する感動物語をその時点で思い出し、「あーこのカメラが3人を引き戻すんだ...」と胸熱くなる。

また、1度目は分からないけど、2度目だと、多香子は30年近くも故郷には帰っていないが、8ミリカメラやヒッチコック本の存在で、あの時代の影響や経験を今も持ち続けていること。エリカやみどりたちのと絆を感じていることが分かる。そんな仕掛けが映画の全編に渡って配置しており、2度観れば、それに気づき、別の意味で「あーそういうことか!」とか「ああ、そうだったよなあ」と感銘を受けたり、感動したりできるようになっている。

3度観れば、さらなる発見があるし、1、2度では分からなかった部分の意味が分かって来て感動できたりする。もちろん、1度でも十分感動できるのだが、2度目、3度目でないと分からない感動も隠してある。それが太田映画の特徴なのだが、そんなことが、リピーターの多い理由のひとつか?と考える。といって10回20回観てくれるのはまた別の理由かとも思うのだが、ありがたいことである。

そんな「向日葵の丘」本日が大阪公開の最終日。埼玉は5日の土曜日まで。広島の公開がまだ未定だが、この半年、日本のどこかで上映されていた「向日葵の丘」が終了となる。1度しか見てない方はぜひ、リピーターが多い秘密を確かめに行ってほしい。







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