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映画「向日葵の丘 1983年・夏」撮影現場ルポ その27 ~雨模様の中、街中で撮影~ [撮影ルポ]

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映画「向日葵の丘 1983年・夏」撮影現場ルポ その27
~雨模様の中、街中で撮影~

by永田よしのり(映画文筆家)

 いよいよ撮影もあと二日間を残すだけ。

 5月5日、ゴールデン・ウィークを満喫した人たちは帰宅ラッシュを迎えようという日、午前中から大人・多香子(常盤貴子)が、帰省した地元での道すがらの様子を撮影することから始まった。

 ロケ場所も主に島田市の金谷地区。

 かもめ座の前、カメラ店の前、レンタルレコード店の前、書店の前などを大人・多香子が巡り歩く場面だ。

 台詞はない場面ばかりなので、情景カットをどんどん撮影していく。

 天気予報は雨だったので、雨に降られることなく撮影が続くことを祈る(途中から雨が降ってきたりすると、その前に撮影した場面とのつながりがおかしくなる。

帰り道の途中で雨が降ってきた、という体で途中から傘をさして多香子が道を歩いてもいいのだろうが、できれば同じ様子で撮影したいはず)。

 街中を歩く場面なので、道路を通る車などは自然に流れていくままで撮影していく(もしかしたらその時にたまたま通りかかった車は映画の中に登場しているかも。記憶のある人がいたらぜひ映画でチェックしてみるといいかもしれない)。

 ある店に貼られている「閉店しました」の貼り紙は、スタッフが風になびいている様子を現すために、実際に自分たちの口で吹いて風を送り、パタパタとたなびかせている。これは映画で画面を観ているだけでは絶対に分からない、裏の様子だろう。

 午前10時過ぎには、天気予報が当たり、ポツリポツリと雨粒が落ちてくる。
 だがそれほどの雨量ではないために、様子を見ながらの撮影が続く。
 僕らも自分たちで傘をさしたりしながら、撮影の様子を見守る。
 ほとんど雨が降らなくなるような瞬間を待って、撮影が続く。

 現場では、大人・多香子の歩く導線をきっちりと決め、最小限の動きと時間で撮影されていく。
 「もしかしたら1日こんな天気かもしれないですねえ」
 助監督とそんな話をすると、「これくらいの雨なら大丈夫でしょう。土砂降りになったら困るけど」と返事。

 その不安は後に的中してしまうことになるのだが。
 午前11時頃には小降りの雨の中、大人・多香子が街を歩く様子の撮影が終了。
 次は大型バスをチャーターしての撮影へ。

 このシーンは大人・多香子が帰省する時に乗っているバスの想定。その車内での様子を撮影するのだ。
 40人は乗れる大型バス。

 レンタルしているのは2時間ほど。
 その時間内にバイパスや幹線道路などを走ってもらい、車窓からの茶畑の風景や、車内での様子を撮影していく。

 通常走行や、少しスピードを上げての走行など、走り方にもバリエーションをつけてバスには走ってもらう。

 先日ロケをした病院や、きれいに刈り込まれた茶畑などが車窓からは見える。映画とは関係ない話かもしれないが、茶畑の刈り込んだ形がそれぞれにけっこう違うことに初めて気づいた。これは畑主の好みなのだろうか?

 走っているバスの中ではスペースにも限りがあり、なにしろ揺れることもあるので、キャメラのセッティングや、キャメラを回すタイミングなどにも気を使う。

 そんな中でもいくつかのバリエーションをつけて撮影は始まっていく。
 車窓の外を撮影する時は、スタッフが窓についている雨粒を拭いてから撮影したり、その場その場で臨機応変に動いていく。

 バスで移動しながらの撮影は予定通りの2時間ほど。

 まだ雨は降ったり止んだりしているが、渋滞に巻き込まれることもなく終了。最初に乗ったバス待ち合い所まで戻って来た。

 大人・多香子を演じている常盤貴子の表情が、とても憂いのあるものに見えていただけに、この一連のシーンがどのように映画で使用されているのかが、とても気になる場面だった。(つづく)


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