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シナリオに書かれた感動シーンをそのまま撮影しても、感動はできない? [映画業界物語]

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映画のむずかしいところは、シナリオで読むと感動的なシーンでも、それを完成した映像でも見ると大したことがない場面になっていることがある。

というのも、シナリオは文章、映画は映像、もともと表現方法が違うので、同じことを文章と映像で表現するのは違ってくるのだ。もちろん、シナリオを書くときは、映像になった形を想像して書くのだが、やはり机の上で考えるのと、実際に俳優が演じているものを撮影するのとでは違ってくる。

いくら知恵を絞って考えても、現場で撮影してみると全然感動できないシーンになることもある。編集しながら、その理由を考える。先に上げた文章で読むといいけど、映像にすると駄目な場合。

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分かりやすい例を上げると宮部みゆきさんの「火車」とても素敵なミステリー小説だが、映像化すると最悪だった。2時間ドラマのスペシャルで見たが似て非なるもの。これは典型的な例だが、小説は想像させるのが醍醐味であり、映画は見せるのが勝負。そこで全てが崩れていた。

別の理由も考えられる。大したことない台詞でも、名優が言うと心に残るものになることがあるし。素敵な台詞でも、表現力が乏しい新人俳優が言うと何も感じない。駄目な俳優が演じると全てを壊してしまう。或いは作品の内容やテーマを理解しない役者が演じてもだめ。いくら素晴らしい言葉を発しても、理解していない人の言葉は観客には届かない。

或いは撮影方法に問題があることもある。クローズアップで俳優を撮れば感動に繋がるのに、引き絵で撮ってしまったことで感動できないということもある。その逆もしかり。「ロッキー」でコーチのミッキーと和解する場面は寄り絵で撮っていたら、白々しいものになり感動できなかった。引き絵でさりげなく見せるところが上手いのだ。

そんなふうに分析と反省をしても、撮影したもの以外の素材はない。その中で最高の作品になる編集をせねばならないのだが、毎回反省の連続。「もう少し長めに撮っておけばなあ」「このタイミング少しずらせばよかった〜」その繰り返し。

現在、編集中のシーン。撮影の日は雨で、寒い中、俳優部は夏服で撮影。1日がかりなのに、時間がどんどん経って行き。陽がほとんど暮れた頃にようやく撮影終了。最後の方は明らかに映像が暗い。なのに、この場面は映画内でもベスト5に入るはずの感動シーン。果たして盛り上がり、感動できる場面になるのか? 胃がキリキリ。。。

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