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映画「向日葵の丘 1983年・夏」撮影現場ルポ/その8 [撮影ルポ]

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地図は必須! 次々に移動していく撮影現場。
by 永田よしのり(映画文筆家)


 この日は朝9時に撮影開始。快晴だ。
 ロケ現場となる家山地区まで移動し、創業明治43年という作り醤油屋(マルエイ醤油川根本店)を借りての撮影となる。
 僕はこの取材の間、車にスチール・キャメラマンとメイキング・ビデオマンの2人を同乗させて撮影現場を移動するようになっている。なので現場にまず2人を降ろし、車を駐車場に入れて撮影現場に歩いて行くのだ。
 現場に着くと、すでに美術部は店の周辺に立て看板などを飾りつけ、1983年当時の様子を再現していた。
 こうした撮影現場では出演者陣が到着、撮影の前にスタッフらは開始時間より早く現場に入り、撮影がスムーズに行われるための用意に余念がない。その入り時間は準備の様子によって様々。早い時は撮影の2~3時間前から現場に入っていることもあるのだ。
 本日はその醤油屋に多香子(芳根京子)たちがやって来るシーン44~45から撮影を始める。
 この醤油屋は、多香子が少し憧れている先輩・将太の実家。演じるのは若手の小池亮介。映画の他にも舞台の芝居などにも出演している。

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 醤油屋の中での撮影の前に、まずは多香子たちが醤油屋へと自転車を押しながらやってくるシーンを撮影。
 もちろん普通の道路での撮影なので、往来する車に気をつけながらの撮影となる。
 スタッフらは車が通るタイミングを確かめながら動いていく。
 場所は曲がった下りの坂道なので、下り側の車は気持ちスピードを落として走って来る。撮影をしている様子を見ながら通り過ぎて行く車も多いので、わき見運転が少々心配だ。
 そんな場所に自転車を押して歩きながら台詞を言う芝居。流れの中で店の脇に自転車を停め、店内へと入るまでを追う。
 監督は一連の動きの中で台詞のタイミングを早くしたり遅くしたりを計算しながら指示を出していく。
 この日は快晴で太陽の光が強いため、キャメラには黒い暗幕をかけてキャメラ・モニターを見やすくしながら撮影が続いていく。
 こうした場面の撮影では、離れた場所(ロング・ショット)での画面作りになるために録音部が手持ちのマイクで役者たちの台詞を拾うことが出来ない(画面の中にマイクが写り込んでしまうからだ)。
 そのために彼女たちには画面には見えない身体の箇所にワイヤレスマイクが仕込まれている。
 その台詞の音量も確認しながら撮影は進められていく。
 しかしながら往来では様々な音が溢れている。
 飛行機が飛ぶ音やウグイスの鳴き声、犬の吠える声、車の往来などなど。それらを同期録音でできるだけ収録しないようにうまくタイミングを計りながら撮影していくことになるのだ。
 この場面はテイク4で終了した。

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 次は屋内での撮影。
 醤油を作っている樽がある場所なので、外から雑菌が入らないように配慮される(スタッフらは頭にエコキャップを被っての撮影となる)。
 醤油を作っている蔵に入るとプ~ンと醤油の匂いが溢れている。長い歴史がこの場所にあることを感じる。おかしいが、まるで自分が醤油を漬けられた煎餅のような気分にもなってくる。
 いくつもの大きな醤油樽を抜けて一番奥で作業している将太のいる所まで行って台詞のやりとりをする場面だ。

 ここではキャメラを1台で俯瞰から撮影するものと、役者に寄ったものを撮影。
 2階から1階への機材の移動などはそれぞれのスタッフで声掛けが必須だ。監督は将太への芝居をつけている。「久しぶりに会うというニュアンスを大事に」「作業の時間経過に気をつけて」などといくつもの指示が出る。(つづく)

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