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有名になりたいと思ってなかったが、有名になることで映画を多くの人に観てもらえるのが監督業。 [My Opinion]

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この業界を目指す人たちは「有名になりたい!」という人が多い。ひとつには有名になり、賞賛されたい。あるいは、「今までバカにしていた奴らを見返したい」という思いがあるからだ。

が、僕はなぜか?昔から「有名になりたい」という思いがなかった。自分が思った映画を作り、多くの人がそれを観て、笑ったり、感動してくれれば、僕自身が有名にならなくてもいい。と思っていた。

だから、パーティや飲み会で、業界の人たちに顔を売ってまわるということが苦手。新人監督にはとても大事なことなのだが、それがなかなかできず苦労した。

そんな、ある日。友人でもある、有名女優さんの舞台を見に行き、楽屋に挨拶に行ったとき、そんな話をした。と、その女優さん。誰もが知るその女優さんはこう言った。

「太田さん。それは違いますよ。有名になれば、いろんな仕事の依頼が来る。そして自分がやりたい仕事ができるようになる。だから、有名になることは大事なんですよ!」

なるほど....確かにその通りだ。自分のやりたい仕事をすることで、この10年、ずっと苦労してきた。映画の世界で監督業をするだけでも大変。まして、食って行くのは至難の技。生活のために、嫌な仕事でもやらねばならない。

友人には食うために、アダルトビデオや商品説明ビデオの演出をやっている。映画を撮れても「なんだ、この物語は! 誰が観るんだよ〜」というシナリオで監督せねばならないことがほとんど。

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まして、自分が本当にやりたい企画。作りたい映画を監督できるのは本当に一握りしかいない。そんな業界で、映画を撮って行くのは至難の技。友人の中には「監督させてくれるなら、ゲイのプロデュサーと寝てもいいけどなあ」という奴もいるが、ハリウッドと違い、日本ではそれもなかなかむずかしい。

そんな世界で映画を監督をすること。本当に撮りたい映画を作るには、その国民的女優さんがいうように、監督自身が有名になることは大事なのだ。

黒澤明監督が「影武者」の製作費が足りず困っていたとき、フランシス・コッポラとルーカスが支援を提案。それでスタートできた。「夢」のときはスピルバーグ。黒澤が世界的に有名だからこそ、そんな提案があったのだ。

世界的に有名でなくても、業界で有名なだけでも、企画会議で「誰に監督させようか?」とプロデュサーたちが考えるときに、名前が上がりやすい。いや、映画ファンに知名度があるだけでも「あの監督の新作なら観に行こう!」ということになる。

無名の監督の映画を見たい!と思うのは、その映画に魅力があるときだけ。けど、その映画に興味を持てない人も、監督の支持者、ファンなら、見にきてくれる。そうすれば映画がヒットする。多くの人が映画を観てくれることになる。

映画がヒットすれば、そして監督が有名になれば、仕事の依頼が増える。同時に、発言権も増す。つまり、自分が本当に撮りたい映画を撮れるようになっていくということ。監督が有名になるということは大事なのだ。

それと、こんなこともあった。映画を何本か作り気づいたのは、僕が前に出ることで映画がアピールすること。もちろん、俳優が宣伝や舞台挨拶で協力してもらえれば、とてもアピールする。お客が来てくれる。が、俳優さんは次次に仕事をせねばならず、1つの映画の宣伝を延々とすることはできない。

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その点、監督は1年に1本しか映画を撮れないので、次回作の準備がスタートしていても映画公開後に余裕がある。なので、僕は毎回、上映が始まっても宣伝を続ける。ブログやFacebookを書き続け、機会を作ってトークショーや舞台挨拶をする。

なぜか、それがウケて、僕がイベントをやるとそこそこお客さんが来てくれるようになった。最近では友人監督のトークイベントに出て、かなりなお客さんが来て驚いた。

そんなことがあり、数年前からこう思うようになった。僕が映画の宣伝部長となり、広告塔となり、宣伝することが一番安くて、アピールする。そんな訳でFacebookやブログを毎日のように書き、前作「朝日のあたる家」のときは全国、舞台挨拶ツアーまでした。

このFBは「友達」が1700人を超え、ブログは毎日1000件アクセス。ツイッターは2500人のフォロアー。劇的に数が増た。そのことで、映画が知られるようになり、各地でもヒットする一因となった。

僕が前面に立つことで、多くの人が耳を傾けてくれたり、興味を持ってくれることで映画を観てくれる人が増えること。実感した。

「有名になりたい!」とか全然思ってなかったけど、僕のことを知ってくれる人が増えることで、応援してくれる方々が増えることで、映画を観てくれる人が多くなればいいか!と思うようになった。

が、知名度が上がると、それはそれでマイナスが多く。このFacebookでも、「お友達」が増えると、いろんな頼まれごとをする。嫌がらせも増えた。誹謗中傷も多い。同期の監督たちからは妬まれる。

先輩から嫌味を言われる。僕の名前を使って勝手なことをする輩も出てきた。そして、映画がいくらヒットしても、監督の収入にはつながらない。そして宣伝をいくらしてもギャラももらえない。実は大変なことが多い。

それでも僕が前面に立つことで、映画がアピールできるなら、映画を観て感動してくれる人が増えるということ。監督ににとって嬉しいのは、そこだ。有名になるより、金持ちなるより、それが一番嬉しい。

だから、僕が前に出る。有名になり、知名度が上がれば、より多くの人に声が届くようになる。そして、多くの人に感動を伝えることができる。そんなふうに考えている。


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