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なぜ、日本映画には誰もが口ずさめる名曲がないのか?(後編) [MA]

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だから、映画の音楽入れをするときもこうなる。

「ここはしっかりと芝居を見せたいので、音楽は入れないでほしい」

音楽は邪魔だというのだ。逆に「ここは泣かせるシーンだけど、今イチ盛り上がらないから、何か悲しい音楽を入れてほしい」という。

彼らにとって音楽はまさにBGM=バック・グラウンド・ミュージック。つまり、後ろで流れているもので、芝居の邪魔になるから後ろで密かに流すということなのだろう。もともと音楽に関心のない監督たちが、音楽に力を入れるはずがなく、日本映画には有名な映画音楽が少ないということになったのだろう。

だが、先輩たちばかりではない。同世代の映画好きも音楽に興味がある人は少ない。自主映画をやっていた頃も、友人たちが聴いていたのはユーミンかアイドル歌手くらい。自宅にステレオがない奴も多く、テレビ放送された映画を録画したビデオテープはあっても、レコードや音楽カセットは少ししかなかった。

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これは日本人の気質なのか? 映画が好きな人に音楽が好きな人が少ないような気がする。「音楽は何を聴くの?」と訊くと、ほとんどが「何でも聴くよ」と答える。その意味は流れて来た曲なら何でも聴くということ。そんな人は自分から進んでレコードを買わないし、ましてコンサートには行かない。

一方で音楽の好きの友人たちは、ビートルズだ、ストーンズだ、ボブディランだ、ジャズだ、クラシックだ、と部屋に行くと、もの凄い数のレコードがあった。そして、徹夜で並んでチケットを買い、コンサートに行く。が、そんなタイプは映画にはあまり興味なく、年1本見るかどうか?

こうして見ると、世代ではなく、映画が好きな人はあまり音楽に関心がないし、音楽が好きな人は映画にさほど興味はない。と書くと、「俺は違うぞ!」と言われそうだが、そんな傾向が強いということ。

僕は中学時代に映画館通いが始まり、同時にビートルズを聴きだした。高校時代にギターを練習したが、全く上達しなかったので、映画の道に進んだかもしれず。その後も音楽は欠かせぬ存在。

高校時代はローリング・ストーンズ。卒業後の横浜時代はブルース・スプリングスティーン。邦楽なら矢沢永吉に尾崎豊。

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アメリカの大学に留学したのは表向き、映画の勉強だが、内心は当時日本には来れなかったストーンズのLIVEが見れる。日本では短縮されるスプリングスティーンの3時間を超えるコンサートが生で見れる。というのが目的でもあった(内緒!)。

LAで生活し、何よりも勉強になったのが、日本では見れない往年のアーティストのLIVE。チャックベリー、レイチャールズ、ジョンリーフッカー、BBキング、100人も入らない小さなLIVEハウスで見ることができた。と書いていて、そんなだから映画音楽の不満が大きくなるのだと思えた。

というわけで、自分が監督した映画に着けてもらう映画音楽にもうるさい。曲次第で映画が2倍3倍と輝くが、駄目な曲だと総崩れだ。そして、何より、音楽は「悲しい」場面で悲しみを盛り上げるためだけのものではない。それでは足し算。映像と音楽はかけ算なのだ。1X1=5になるかけ算。そして、音楽はもう一人の主役といっていいほどに重要。バックで流れているBGMではない。

多くの日本映画はまさにBGMなので、本当に背景で流れるだけだが、ヨーロッパ映画などでは、音楽に映像が着いているのではないか? と思えるほど、音楽が全面に出ている作品が結構ある。また、「スターウォーズ」などは、あの音楽なしに、あの世界観は出なかったと思えるほど。僕は映画の力の半分は音楽と思えるほど、重要な存在だと考える。というところで、次回は「向日葵の丘」の音楽について語る。

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