アメリカ映画が力をなくした理由(前編) [映画業界物語]
1970年代後半。
僕のまわりでも映画といえばアメリカ映画だった。誰に訊いても日本映画よりアメリカ映画!といった。当時の日本映画は百恵=友和、寅さん、トラック野郎、日活はロマンポルノ。若い世代が惹かれる作品は少なかった。
テレビでは「西部警察」がアメリカ映画並みに、カーアクションをしているのに、日本映画はテレビドラマ以下の予算。入場料を払って見たくなるものはない。文芸ものや難病もの。タイトルを見ただけで、うんざりというものが多かった。
それに対してアメリカ映画は
「タワーリングインフェルノ」「ジョーズ」「キングコング」「スターウォーズ」「未知との遭遇」「ロッキー」「サタデーナイトフィーバー」「スーパーマン」「007私を愛したスパイ」「007ムーンレイカー」「エイリアン」と、もの凄い映画を連打。日本映画とは桁違いの製作費、アイディアの斬新さ、特撮の凄さ、圧倒的な面白さに、僕らはアメリカ映画に喝采を送った。
そんな訳で僕はLAに留学。
映画作りを学ぶのだが、1990年代に入り、アメリカ映画は行き詰まって来る。高額の制作費もある。有名スターも出ている。特撮はさらに進歩している。だのに、パワーを無くしていた。新しいものも出て来ない。
だから、過去のヒット作のリメイク。シリーズもの。さらには日本映画のリメイクまで! 近年では日本絡みの作品(「ラストサムライ」のヒットにあやかり。日本が舞台のもの。時代劇等)まで数多く作られているが、以前のハリウッドのパワーを感じない。
日本でも、今、若い世代に訊けば
「アメリカ映画より日本映画を見る」とほとんどの人がいう。なぜに、アメリカ映画は力を失ってしまったのか? 僕自身は2本の映画の登場が時代を変えたと思える。
1本は「ダンサーインザダーク」ミュージカル仕立てだが、もの凄く暗い親子の物語、決して高額の制作費はかかっていない。なのに、泣けて、泣けて、泣けて、打ちのめされる。デンマークの映画がなぜ、ここまで凄いのか? 金をかけなくても、ここまで出来るのだと痛感した.....。
そして「ロード・オブ・ザ・リング」
これはハリウッド映画? いや、ニュージーランド映画であり、ニュージーランド人が監督。でも、超豪華な大作。CGのパワー全開の冒険映画。この手の映画はハリウッドの十八番だったのに、もうニュージーランドでできる時代になったこと。痛感した。
80年代にニュージーランド映画というと「マイドク」くらいしかなかったのに、これも時代を感じた。おまけにアカデミー賞まで取ってしまう。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と共に、これら2本の映画の登場はアメリカ映画の終焉を思わせた。そこから見えて来るものがある......。
(つづく)
2014-05-30 09:25
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