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片目を失っても撮影に全力投球するのが映画監督の使命。 [My Opinion]

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内緒にしておこうか?とも考えたが、

何人かの関係者が気づいて密かに心配しているので、詳しく報告しておく。2年ほど前から左目が見辛くなっていた。眼科に行くとある病気だという。手術をした方がいいと言われたが、その頃はまさに前作「朝日のあたる家」の撮影準備でてんやわんやの時期。手術を決めた日が撮影中になるとまずい。いや、撮影でなくても、本読みでも、衣裳合わせでも、僕の都合でNG というのはいけない。そのために若手俳優の役作りを阻害してはいけない。そんなことで先延ばしにしていた。

左目だけではなく、

まだ問題のない右目も別の病気だと診断された。左目の進行はゆっくりだが、右目は急に来ると医者から言われた。突然に視力が落ちて目の毛細血管が破けて出血。目から血が溢れ、失明する可能性がある。が、「朝日」撮影終了後はすぐに編集、完成後はロサンゼルスの映画祭、地元での完成披露試写会、そして宣伝。全国公開。舞台挨拶ツアーと続いた。もし、手術日が先に決まっていたために、*市の公開初日舞台挨拶に参加できないというのは許されない。僕が行くことで、多少でも観客が増えるのだから。欠席はできない。そんな訳で「朝日」の映画館公開が終了するまで、手術の予約をしないことにした。

だが、夏が来て、秋が来て、

次第に左目の視力は落ちて行き、ほとんど霞んでしか見えなくなった。そんなことを言うと皆、心配するので内緒。それでも「あれ?」という友人たちが出て来た。その内に「向日葵の丘」の製作が決まる。「朝日」の宣伝、舞台挨拶ツアーと重なり、超過密スケジュール。撮影は5月となる。この頃になると左目はほとんど見えず。片目のジャック状態。右目も急に視力が落ちて見えなくなる可能性がある。もし、撮影中にそうなったら? 何とか、撮影までに手術せねばと考えた。

ところが、やることは山積み。

「朝日」の舞台挨拶ツアー。「向日葵」の準備。ロケハン。キャスティング。いずれも僕がいないとストップしてしまう。で、考えた。もし、このまま手術が遅れて左目が手遅れになっても、それは仕方ない。ここで僕が休む訳にはいかない。ただ、撮影中に右目まで見えなくなると、大変なことになる。演出ができない。とは言え、撮影が近づくにつれて、やることは増えて行く。時間が足りない。より良い作品を作るには準備が大事。どうするべきか?

毎回、遺作。そう思ってかかる。

だから、これで手術が遅れて左目が見えなくなるくらいは構わないと思った。そのことで準備を遅らせたくない。少しでも良い作品にするため、全ての時間を自分の為ではなく映画のために使いたい。ただ、撮影中に両目が見なくなるというのはマズい。そこで、僕の映画の全て撮影してくれており、今回もカメラを担当してくれるSさんにだけは、そのことを話しておこうと考えた。だが、もし、撮影中に目が見えなくなるかもしれないことを伝えても無意味なことに気づく。盲目の監督なんてどーしようもない。座頭市のように音だけで判断するか?それは無理。事実を伝えても彼に余計な心配をかけることになるだけだ。

すでに左目が見えず、右目も突然も失明すること。

結局、伝えなかった。が、撮影後に彼から言われた。「目。大丈夫ですか?」何で分かった????撮影中におかしいと気づいたという。凄い観察力!彼が腕のいいカメラマンというだけでなく、監督である僕の健康まで心配してくれていたことに胸が詰まった。そして、やはり事前に話さなくてよかったと思う。彼には心配をかけず、素晴らしい映像を撮ることに専念してもらうことが大事なのだ。

そこで初めて事情を話し、

その数日後に眼科を訪ねた。医者から酷く怒られた。「なぜ、こんなになるまで来なかった!」だって、診断を受けて、即手術!と言われたら困るから........そんな訳で徹底した検査を受けることになる。前回、診療を受けてから気づくと2年が経っていた。その間に2本の映画を撮影した。失明しても後悔はしない。

検査の結果。左目はもう光を感じるだけ。

右目も「いつ失明してもおかしくない状態」と言われ、また厳しく叱られた。「今日、ここに来る途中に失明していてもおかしくないんだよ!」そう言われ、その日の内に緊急手術。幸いにも成功。が、問題は左目。今も検査を続けている。果たして手術をしてよくなるものか?どうか?まだ分からない。おまけに手術が込み合っていて、夏まで待たねばならない。

医者はこう言った。

「いくら仕事が大事とは言え、目が見えなくなったら元も子もないよ!」けど、僕の目のために映画準備が疎かになり、俳優たちに致命的な問題が起ることの方が怖いい。目は2つあるけど、映画は今回駄目だから次がんばるでは済まない。だから、毎回、遺作のつもりで全力でかかる。でも、まあ、ひとつ間違っていたら撮影中に右目も見えなくなる可能性もあったのだ、、、、撮影中に監督が目から血を流したら、みんなビックリするだろうなあ。。。。

なんて笑い話にはならない。

が、僕が撮影前に手術を予約したとして、もしかしてその日が「本読み」の日になったかもしれない。俳優たちのスケジュールはタイト。僕のために本読みが中止になり、そのまま撮影になったときに、俳優たちが戸惑い、いい芝居ができないということだってあり得る。スタッフとの打ち合わせができず、そのときに僕が伝えられなかったことが原因で大きなトラブルになることもある。病院も手術予定がいっぱい。両者の都合のいい日に手術はできない。だから、撮影が終わるまで手術はしないと決めた。

左目が見ないままの撮影は

厳しいものがあったが、幸い右目は撮影中に失明することはなく。無事にクランクアップした。あとは、夏の手術がうまく行き、完成試写会のときに両目で「向日葵の丘」を見れることを願うばかりだ。作品が遺作になるのはいい。でも、目が見えなくなり、生きていながら自分の映画が見れないのは辛いものだ。ま、片目でも見れればOKだと思うが。。。以上、報告まで、薄々感じていた方。心配してくれた方。申し訳なかった。でも、編集は片目でできるので大丈夫。がんばります!


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